司書という仕事がとても気になります
- ★★★ Excellent!!!
司書といえば図書館で働く方々を思い浮かべますが、この物語の司書は「他人の記録を記憶として有する仕事」。
主人公の少年・カシが出会ったのは、黒い覆衣から薄桃色のおさげが覗く司書の少女。ささやかな交流を重ねて距離を縮める二人ですが、その司書という仕事のもつ弊害が二人に暗い影を落とし始めます。
鮮やかな季節の色彩、一つに定まらない花の色。匂いまで立ち込めそうな花の描写も魅力的でした。
ミステリアスな世界観と、足元を埋め尽くす可憐な花のコントラストが非常に美しい短編作品です。