名前を失った朝

喪失から始まる異変の描写が、驚くほど地に足がついている。目覚めの違和感、鏡の高さ、声の質感──すべてが「体感」として積み重なり、読者を一瞬で当事者に引きずり込む。家族との軋轢や退職までの経緯も説明過多にならず、人物像に説得力を与えている点が好印象。全体として地に足のついたリアリティがあり、続きを読ませる力のある導入だと思いました。派手な説明に逃げず、行動と視線で語り切るのが好き。
面白いです!

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