『讒訴(タイトル)』に たどり着いた時、震えた。

 歴史物の文体で書かれた地震発生装置です。

 口に入れるまでは「苦手かも」と思っていても、食べ始めれば意外と食べ進められてしまう。そんな読み味は作者の文才を示しています。

 歴史小説とかBLとかはそれほど。という人でも1話(ひとくち)だけ読んで(たべて)みて欲しい、と作者ではなく読者の私が言いたくなる。なんせ私がそうなので。
 短い中にみっちみちに詰められた果汁で溺れること間違いなしのワガママな作品性に舌が唸りました。

 後味まで緻密に創り上げられた歴史創作料理。
 そんな印象を受ける質の高い作品です。

 難しい言葉なども出てきますが、各話に簡単な解説もついて親切設計。多少なら知らない単語を読み流しても趣旨は掴めるでしょう。
(※個人的には、長押しタッチで簡単に調べられるのもネット小説の醍醐味だと思います)

 こんなに美味い地震発生装置を喰らうのです。鋼鉄を噛み砕くくらいの気持ちで行きましょう。
 滅多に喰えないですよ、こんな上質な地震発生装置。