世界が息をする前から、終わりを孕んでいた――27の紋章が刻む創世叙事詩
- ★★★ Excellent!!!
沈黙の虚無に、ひとつの問いが揺らいだ。「私は誰か」――
その震えから、世界の最初の理「始まり」が生まれる。続いて太陽、月、門の四柱が降り立ち、世界は輪郭を得た。
五行の新紋(炎・潮・雷・風・大地)が星に呼吸を与え、命輪の三柱(生命・霊獣・魂喰らい)が生死の循環を、理統の六紋(叡智・運命・審判・真理・封・聖)が秩序を築く。だが鏡が異なる宇宙を映した瞬間、世界は誤って「終わり」の紋を生み落とす。始まりはそれを消去したが、残渣は消えず、異界の六紋(罰・変化・覇・円など)として胎動を始める――
抽象的で哲学的、詩的な文体で綴られる壮大な創世記。人間どころか生命すら存在しない時代、世界という存在そのものの誕生を27の原初紋章の降臨として描く。難解だが、世界が自らを問い、理解しようとする過程には独特の美しさがある。