第53話 吠えまくる怒りのショットガンで

「そうは言ってもだな、ボス。保安官達は昼夜問わず働いてるぜ?これ以上治安を良くするんなら、ワーウルフ以外にも人を増やしてくれよ。あと、最近出てきたピストル?ってのか?あれ使えるからもっとくれ、保安官全員に配りてえ」


グルルガウ。ワーウルフ族で有力な氏族、『ウルの右眼』の族長だった男。鼻が利く人間警察犬でありながら、人間よりもフィジカルが強く、頭の出来も悪くないワーウルフは、保安官に最適だった。そういう訳で、保安局長をやらせている。


「オラ達頑張ってるだぁよ……。でも、余所から来た奴らが、その辺でクソ垂れたり、ゴミを捨てたりするだぁよ……。上下水道の保守とか、道の保守とか、頑張ってるけど、汚す奴がいるから大変だぁ。まんず、掃除する人を呼んでくれぇ」


サイクロプス族の男、モ・メ・ワワシ・ワ。有力ではなかったが、最も早く俺に従ったことで、他部族よりも技術力で優越し成り上がった部族、『モ・エィ』族の族長だ。こいつは、なんかこう、国土交通大臣みたいなアレだ。


「ギィイッ!!!ソウ言われテモ、コッチだってイッパイイッパいダッ!!!この前なんて、ウチの仲間が、冒険者とかイウならず者に斬り殺されタッ!!!こんなんじゃ、掃除がデキナイッ!!!」


老いたゴブリン。名前は「火付けのビブ」。ゴブリンの中でも知力に優れる、ゴブリンメイジだ。そしてゴブリンは、氏族というか「婚姻」という制度を持たない種族。だから姓は持たないのだが……、ゴブリンメイジは一般的に、エリートとされる。そんなこいつは、バカなゴブリン共をまとめ上げて、街の掃除をさせている環境大臣的な存在。


なるほど、なるほど。


分かってきたぞ。




これもう、エイビルベルグで大捕物やった方が早いわ。




そんな訳なので、デストラン将軍を呼び出す。


グルルガウも呼び出す。


「えー、集まってもらったのは他でもない。この領都エイビルベルグで、犯罪組織の一斉摘発を行う!」


「私を呼んだということは、軍も動員するのか?」


と、デストラン将軍。


「そうだ、軍も使って、裏路地の全部に入って、ネズミのように隠れる犯罪者共を全員ひっ捕えてやる!」


ノリノリの俺。


「いいじゃねえか!やろうぜ!もう、余所者の犯罪者共に舐められるのは懲り懲りだ!」


グルルガウも乗り気だ。


「ふむ……、軍部が出るほどか?保安部の面子はそれで立つのか?」


「いやまあ、軍部はあくまでも後詰めだよ。演習の名目で街の外を半包囲しておいてもらって、保安部が街の中から炙り出した犯罪者を『緊急措置で超法規的に逮捕した』みたいなことを言ってぶん殴ればOK」


面子なー、こういうの大事だからな。


そりゃ市民も、保安部が解決すべきことを軍部が全部解決しちゃったら、「もう軍部だけでいいんじゃないかな?」となるもんね。


もちろん、ゴリゴリ圧政してて市民に政治参画(笑)なんて絶対にやらせねーけど、それはそれとして、保安部が舐められるのは俺もグルルガウも面白くない。


警察官ってのは、恐れられつつも尊敬されなきゃならんのだ。制服でコンビニに行ったら市民様からクレームを出されるような有様ではいかん。


その第一歩として、デカい功績。


なあに、最悪はその辺のチンピラ組織の長を斬首して、「こいつはめっちゃ悪い奴でした!」ということにすればいい。


とにかく今は、ワルバッド辺境伯領保安部ここにあり!と示して、犯罪者共に威嚇をしなきゃあな……。


「これは、犯罪者共に向けたパフォーマンスだ。だが、一斉摘発自体は本気でやる。街の外にできているスラム地帯にも突っ込むし、街の中の怪しい店も、戸棚を全部ひっくり返して全部を調べる。……もちろんだが、決行まで黙っておけよ?話が漏れて、犯罪者に逃げられちゃあダメだ」


「おう」「うむ」


「そして、保安部には新装備を配る。忙しいのは分かっているが、一ヶ月で死ぬ気でモノにしろ」


そう言って俺は、ドクター・サイエンの新兵器である、「ポンプアクションショットガン」と、「SWATアーマー」の見本を見せる。それと、無線機もだ。


「おお……、こりゃ、デカいピストルか?それと、鎧だな」


「銃と言うんだ。それはショットガン、ピストルとは威力が比較にならんぞ。鎧の方は、プレートアーマー並みの堅牢さの割に、重さは半分以下だ。そして『反発』の呪印が刻まれているから、敵の攻撃を……特に矢弾を弾く」


「そりゃあいい!怪我人が減るぜ!」


「こっちは無線機。携行できるほどに小型化したものだ。本人の発散している魔力で駆動するエコ機材だが、その分出力は街ひとつ分程度だな」


「それでも、街ひとつ分の全保安官に一度に指示が出せんだろ?最高だ!」


「これらの新装備の訓練は、軍部の実験演習場でやってくれ。実験演習場はいつもオモシロウェポンのテストをしているから、軍服を着ていれば誤魔化せるはずだ」


「なるほど……」


「デストランは、その辺りの折衷をしてくれ」


「了解した。保安部の精鋭はこちらで預かる」


「作戦決行は九月下旬とする。それまで、各自仕事をするように。じゃあ解散」


「おう!」「うむ」


この領地には、消えなきゃならないものがたくさんあります。


それらを、保安局の力で全て消し去ります。ってか?


いやマジで、消えて欲しいんだよな。


例えばそう。




『冒険者ギルド』とか……。

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チュートリアルでやられる悪役領主になったんですが、権力を手放したくないので強くなって主人公を迎え撃ちます 飴と無知@ハードオン @HARD_ON

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