重みのある導入から、「神の国」を通じて少しずつ物語が立ち上がっていきます。
心の痛みを扱うのはむずかしく、それだけで一つの挑戦でもあるものですが、心の機微を描き出すのがとても秀逸で、情景描写も丁寧なので物語のありようがすんなりと入ってきました。
誤解やすれ違い、執着など様々な感情が描かれながら、読み進めるたびに主人公を応援したくなる気持ちが自然とわき、死神というイメージが溶解していく心地がしました。
傷を知っているからこそ出てくる台詞だったりと、異世界であっても人間の心を描こうとする一貫とした作者の方の真摯な姿勢を感じました。
素直な欲望は危うさもあり、だからこそ力もあるのだとあらためて考えました。
こまやかな心の機微に触れながら、芯のあるヒロインの成長を感じる物語です。