概要
――その音は、まだ世界が生まれる前に震えていた。
閑散期の寒空の中、夜の博物館でだけ目を覚ますのは――人間ではなく、名器たちだ。
語り手はバイオリン《カノン》。
隣に並ぶのは、一度も「うた」を授からなかった奇妙な楽器《メシア》。
メシアが望むのは、数万年前の異界に口を開く洞窟の底、
原初の音の欠片《グァリ†ジェズ》を見に行くことだった。
黄衣の王と呼ばれるチェロ、
森の黒山羊シュブ=ニグラスの仮面をかぶった緋の淑女、
モンパルナスのカタコンベから“夢の国《ドリームランド》”を経由して、
二挺の提琴は、音の生まれるさらに前――十五次元の宇宙へと踏み込んでいく。
なぜメシアには「うた」がないのか。
「カノンにはあるけどボクにはないもの」とは何か。
一本の弦の同じ一点から、十五の倍音を同時に響かせる“完全宇宙”とは――。
楽器たちの視点で
語り手はバイオリン《カノン》。
隣に並ぶのは、一度も「うた」を授からなかった奇妙な楽器《メシア》。
メシアが望むのは、数万年前の異界に口を開く洞窟の底、
原初の音の欠片《グァリ†ジェズ》を見に行くことだった。
黄衣の王と呼ばれるチェロ、
森の黒山羊シュブ=ニグラスの仮面をかぶった緋の淑女、
モンパルナスのカタコンベから“夢の国《ドリームランド》”を経由して、
二挺の提琴は、音の生まれるさらに前――十五次元の宇宙へと踏み込んでいく。
なぜメシアには「うた」がないのか。
「カノンにはあるけどボクにはないもの」とは何か。
一本の弦の同じ一点から、十五の倍音を同時に響かせる“完全宇宙”とは――。
楽器たちの視点で
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