――聞こえたら、もう遅い。
『ヒスノイズ』は、
耳鳴り、砂嵐、ラジオの雑音……
本来は意味を持たないはずの「音」から始まるホラー作品や。
怪談投稿、雑誌記事、インタビュー、掲示板ログ。
断片的な記録が積み重なっていくうちに、
読者はいつの間にか
「読む側」やなく、
“調べてしまった側” に立たされる。
派手な脅かしはない。
せやのに、ページを閉じたあと、
イヤホン外す手が一瞬止まる。
そんなタイプの静かな恐怖が、
じわじわ侵食してくる作品やね。
【中辛・ホラー観点での講評】
この作品の一番の強みは、
怪異そのものよりも
「関わってしまった人間の後悔」を描いてるところ。
怖いのは幽霊やない。
聞こえたのに無視したこと、
信じてと言われたのに背を向けたこと。
そういう
人間側の選択が積み重なって、
ノイズみたいに頭の奥に残り続ける。
構成はかなり緻密で、
媒体ごとの文体も安定してるから、
ホラーが苦手な人でも読み進めやすい。
その反面、
中盤以降は情報が整理されていく分、
「分かってしまう安心感」が一瞬だけ顔を出す。
ここは中辛ポイントやけど、
説明が丁寧やからこその現象でもある。
もし説明を一段削ったら、
この作品は
もっと読者の想像を暴走させるタイプやと思う。
【推薦メッセージ】
・ネット怪談が好き
・じわじわ来る心理ホラーが好き
・読後に「嫌な余韻」が残る作品を探してる
そんな人には、かなり相性ええ。
夜中、静かな部屋で読むのはおすすめせえへん。
読み終わったあと、
「今の音、気のせい?」って思うから。
この作品は、
怖がらせに来るんやなくて、
気づいたら逃げ道を塞いでくるホラーや。
ノイズは、
消したつもりでも、
完全には止まらへんからな。
ユキナ🌶