赫に濡れる飛び散る

USSR

記録 20◼️◼️-5-◼️◼️









『警告:この先の情報を閲覧する為にはlevel『VI』のライセンスが必要です。』









観測番号 1805-288-CL class『無力状態(元災害級)』


〔赫に塗れる飛び散る〕


※この非現実物体アブノーマリティーは特殊シナリオ『C-人類滅亡シナリオ』を引き起こす可能性があります。


特別収容プロトコル

 事象Aが再発生した場合、level『VI』以上のライセンスを持っている職員は、10分以内に並行世界に避難をしてください。


 事象Aが再発生した場合、感染拡大を防ぐため発生場所から半径十キロ圏内に隙間なく核爆弾が発射されます。


 この報告書はlevel『VI』以上の職員は必ず見る措置を行い、記憶処理をした場合も再度この報告書を見させてください。



説明

 観測番号1805–288-CL(以後観測番号1805)は異常な病状と感染力を持った赫色を媒体としたウイルスです。空気感染、液体感染、接触感染の経路で観測番号1805は拡大します。


感染したものは十日の潜伏期間を終え、発症に至ります。発症してから数分後37.5から39.0の高熱が発生し、それに伴い激しい体の痛みと息苦しさが発症します。


この発症内容にいかなる薬用処置は効きません。

そして数十分後、発症者は目、鼻腔、汗腺、唾液腺から赤い液体が流れ出てきます。これに伴い発症者は激しい体の痛みと異常な程の喉の渇きを訴えます。


さらに五分後、赤い液体は止まりますが身体中に赤く染まった水脹れが身体中に出てきます。特に関節部分は顕著に膨らみます。

水を与えると水脹れまでの時間が加速します。


そこから、二分から三分後に関節部分から水脹れが爆発します。爆発した時に飛び散る赤い液体には観測番号1805が含まれており、触れた場合即刻発症します。


爆発した時、体の破片が周囲にばらけ。体から離れても水脹れの爆発は止まらず赤い液体を撒き散らします。


撒き散らした液体は強力なアルカリ性であり、服を溶かし体に蝕みます。体に付着した場合、付着した場所に激しい痛みと全身に水脹れが発生します。


以下、一番初めに発症した職員の映像記録です。


事象A

——————


職員「はぁ、はぁ。痛い!身体中が痛いんだ!!痛い、苦しい!」


◼️◼️博士「病原体を発見できない以上、耐えてもらうしかない」


職員「痛い痛い痛い!!」


以下同様に訴えてきたため十分後に飛びます


職員「ごぉぼっぉ!な、なんだあこれ?ごうぇ!!」


◼️◼️博士「吐き出した液体を回収しろ、出血の可能性もある。ガーゼを渡してやれ。」


職員「痛い痛い!!目が!口が!鼻が!!博士゛っ!!」


◼️◼️博士「耐えろ!何か直感的にほしいものはないか!」


職員「水!う゛ぉぇ。水をくれ!痛い!!ああ゛っぉえ!」


500㎖のペットボトルを博士は与え、それを職員は飲み干しました。


職員「はぁっ。お、治った??」


◼️◼️博士「待て、腕を見てみろ。水脹れができている」


職員「ぐっ!!痛い。博士!肩や股関節がっ!!」


職員の肩や股関節、膝関節は通常時より3倍程大きく膨らんでいた。


職員「痛い痛い痛い!!痛い!!」


その後破裂、職員は痛みで気絶をした模様。


◼️◼️博士「破裂した?!大丈夫か!!おい!!◼️◼️!!」


記録終了

——————


その後、最初に発症した職員が働いていたサイト2◼️◼️では従業員の99%が発症。異常感知システムにより封鎖されました。


サイト2◼️◼️を中心に半径十キロ圏内で同様の病状の一般市民が約19000人確認されました。

これを受け、最高司令部は即刻厳重な隔離を行いましたがその後も感染は止まらず、北アメリカの人口のおよそ三分の二、全世界にも及びました。


当時のエージェントジェールによる記録映像です。

——————

ジェール「現在午後二時。そろそろおやつの時間だがその前に人類が滅亡することが決まるかもな。」


映像に映ったのはビルの屋上から見える見渡す限りの赤赫朱緋、、、、。道路や木々、車の中でさえも悍ましい程の赫で染まっている。


ジェール「もしこれに対処ができて、根絶できたときに見れるように記念に記録しておくってことよ。まぁ、見てる時には俺たちは死んでるけどな。」


数秒の沈黙。


ジェール「ははっ、笑えないな。冗談じゃないよな、俺だってそう思ってる。けど現実なんだよ。この赫い世界は」


ジェール「見えるか?この首、めちゃくちゃ腫れてるだろ?ムキムキのボディービルダーの首みたいだ。かっこいいか?俺はかっこいいなんて微塵も思ってないけどな。」


数秒の沈黙とエージェントジェールの大きなため息。


ジェール「こう見えて結構我慢してるんだぜ。すごく痛いし喉も乾いてる。すつま俺はもう時期死ぬってことだ。」


ジェール「どうやったて俺の死ぬ未来は変わらない、だから最後は楽しく終わろうって、せっかくの記念だからな。」


エージェント松村は手に持っていた缶ビールをあけ天に掲げる。


ジェール「過去か未来か、もしくは並行世界か。どれかわからないけどこれをみてるのならこうならないように頑張ってくれ。もう死ぬ。別れの言葉は「さようなら」じゃない。晴々な言葉にしようか。」


エージェントジェールは缶ビールを一気に飲み干す。


ジェール「未来と誇り高きこの星に乾杯」


エージェントジェールの首は破裂し、それに連鎖したかのように身体中が破裂する。

たちまち映像は赫く染まった。


記録終了

——————



感染拡大を食い止められず、『C-人類滅亡シナリオ』を危惧した最高司令部は、人類をリセットさせる非現実物体アブノーマリティーを使用しようとしました。


その時、研究部が発生源が赫色のものだと発見。最高司令部はすぐさま全世界の職員に赫色の物品、生物を焼却しました。


それと同時に感染の勢いは弱まり、感染力や症状も和らぎ死に至ることはなくなりました。現在は世界協定により赫色の使用を禁止。これにより観測番号1805は根絶されたとみなされています。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

赫に濡れる飛び散る USSR @USSR0609

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画

同じコレクションの次の小説