憧れた悪はない。ここにあるのは、死臭漂う日常。

悪役に憧れる少年・夏芹が、本物の怪物に捕らわれ日常を蹂躙されていく鮮烈な不条理ホラー。
見所は、怪異を暴力で支配して家族を演じさせる少年・鼓太郎の圧倒的な異常性。腐敗臭漂う家で強要されるお風呂や食事は、親密さと狂気が混濁し、生理的嫌悪を心地よく逆なでする。
理想の悪を軽々と超える現実の地獄に夏芹はどう抗うのか。予測不能な展開から目が離せない。