深く潜れ、愛という名の深淵へ

重厚な人間ドラマを孕んだサスペンス。
息子を失った母と恋人を亡くした青年が死の真相を追い、自ら地獄の深淵へと足を踏み入れる。五感を刺す「青」の描写が、日常が剥がれ落ちる恐怖を加速させる。最愛の人物を殺める決意、そして復讐の主体が入れ替わる衝撃。性被害という闇を前に、母の愛が猛火に変わる瞬間は圧巻だ。絶望の先に差す微かな希望の残酷さと美しさ。その余韻に、深海へ沈むよう心酔するだろう。