「正」なるものは本当に正しいのか?記憶を巡る壮大なファンタジー。

自分のものではない何者かの記憶「残響」を人々が宿し、その性質で身分が隔てられる世界。忌むべき「外典」の残響を持つ主人公と「正典」の残響を失くしたヒロインの出会いから始まる本作。

「記憶」を主軸に据え、底見えぬ深みを感じさせる独自の世界観は読者を掴んで放しません。

それでいてサクサク読めるし、次の展開もちゃんと気になる。しっかり楽しめる異能バトルファンタジーです。

個人的に、あらすじみたいな作品タイトルが席巻する中にあって、たった4文字のタイトルで勝負に出た作者様のロックな反骨心に、心からの賛美を送ります。主人公が世界に反逆する立場から始まったのも、そんな反骨心に由来する……のかもしれない。

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