選考を振り返って

 はじめにU-24杯の選考依頼が来たとき、やりたいと思い引き受けました。理由はいくつかあります。

 第一に、第一回カクヨムU-24杯に関心があったからです。かつてカクヨム甲子園に参加された方々も応募するとあって、卒業後、彼女彼らはどのような道を歩まれているのか、感想を書いた者としては興味を持ちました。今回の機会を、その経験者たちの現在地を知る重要な場と感じた次第です。(昨年、蘇芳ぽかりさんの作品を拝読しながらも、体調を崩し、感想を書き切ることが叶わなかったという個人的な心残りも、引き受ける後押しとなりました。)

 今回、全応募作を拝読し、表現の幅と熱量に強く印象付けられました。従来の枠を超え、多様なジャンルやテーマに挑み、過去に囚われず、新たな表現に挑戦しようとする強い意志を感じさせる作品が目立ちました。

 また、かつて活字を読めなくなった際、カクヨム甲子園の作品からやる気と情熱を分けていただき、読書を再開できたことへの感謝の思いも、選考委員を引き受けた動機の一つです。

 第二に、二〇二四年春に犀川よう様の自主企画「さいかわ卯月賞」で選考委員を務めた際、体調を崩した経験があるからです。選考は滞りなく終えましたが、自分自身の不甲斐なさを痛感しました。

 第三に、SNSに綴られたカクヨム甲子園に参加された人たちの思いを読んだことがあったからです。受賞後に目標を見失う人もいれば、もっと良い作品を書けたはずと嘆く人もいて、千差万別の思いを目にしてきました。

 人は、何かしら「取り返しのつかないもの」を背負うことで、「青春」という少年期から、「大人」という長く険しい青年期へと歩んでいきます。

 運営が私に声をかけられたのは、カクヨム甲子園の延長線上で選んでもいい意向だと受け取りました。かつての参加者たちを再び創作の場へと促し、前へ進むきっかけを届けたいと考え、その気持ちを選考委員紹介文に込めました。

 参加した人も、見送った人も、それぞれの選択が今につながっていると思います。少しでも皆様の背中を押すことができたのなら、本当に嬉しく思います。

 今回のU-24杯への挑戦が、応募者全員にとって何よりも大きな糧となり、未来への契機となることを心から祈念しております。

 結びに、応募された皆様、ともに選考委員を務められた黒澤主計様、まろでぃ様、そしてカクヨム運営の皆様、改めて感謝申し上げます。


 楽しい時間をありがとうございました。

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私が選んだ第2回カクヨムU-24杯作品の感想 snowdrop @kasumin

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