「正しさとは何か」を問う、凸凹コンビの物語

規則の鬼、規律の番犬。とにかくルールに煩い「ユーリア」と、越権行為を繰り返していた問題児にして魔法省の元エリート「リーゼロッテ」の凸凹コンビが送るバディもの。


正しさとは何かを問われ、人生観を広げるきっかけとして、今の自分の行いを顧みよう。

そんな気分にさせてもらいました。

めっちゃ好きです。


物語の舞台は、特殊な魔法道具『アストレア』が存在する西洋ファンタジー。

主人公、ユーリア・ヴァイオレットは、魔法省に所属する三級監察官。
一時間前から出勤、待ち合わせ場所には三十分前行動、報告書の書式の不備をベテランに指摘し、些細な怠慢も許さない。
規則を守り、規律を正す。学園ラブコメなら黒髪ロングで眼鏡をかけた風紀委員だろお前……と言わんばかりの徹底ぶりに、ついたあだ名は―――規律の番犬。

しかしながら、彼女にもそうなるべくしてなった理由があります。

没落貴族出身、後ろ盾・財産ゼロ、平凡な才能で突出した戦闘能力もなし。
魔法省に入省し、監察官になることができたのは、誰よりもルールを守り続けてきたからです。

規則を守ることは彼女にとってのアイデンティティ。

ですがその行動は傍から見れば―――狂人、ルールの奴隷。自ら考えることを放棄して、正しさを妄信しているようにも見えます。

とはいえ、彼女はそんな自分を「正しい」と思っている。
いえ……正しい自分でいなければ、ここにいる資格はない。という一種の強迫観念が彼女にはあるのかもしれません。


そんな彼女に、局長から指令が下ります。


「リーゼロッテと組め」と。


リーゼロッテ・アステリア―――さっと彼女を語るとすれば、元特級監察官にして、規則破りの越権行為を繰り返し、魔法省を辞めた問題児。

そう、ユーリアの最も嫌いなタイプです。

現在フリーランスの魔法道具師として活動している彼女と共に、『ロナンの涙』と呼ばれるアストレアを回収しろ、というのが与えられた任務。


ただ……では共に頑張って回収しましょうか―――とならないのがこの作品の面白いところ。


正しさの蓋で目を覆っていたユーリアは現実を見せられます。

規則を守り、任務を遂行する。しかしそれは、本当に正しいことなのか?

規則だの規律だのは人間が勝手に定めたルールであり、その裏で、理不尽にも蹂躙される者がいる。

だから、自分の目で見たものを、自分で考えて、自分なりの正しさを判断する必要があるんですね。



この物語の続きを早く見たい、そう強く思いました。

「正しさとは何か」をダイレクトに問うてくる本作。

ぜひ、ご一読ください。