第3話(因縁がここで再び交錯する!)



第1話の因縁がここで再び交錯する!

「ランエボ7をファミリーカー使いするが、足回りはガチガチ」という設定が、クルマ好きにはたまらないリアリティとコミカルさを生んでいます。

そして、お兄さんの「復讐」が最悪の結末を迎える、因果応報の完結編です。


***


### タイトル:『高速道路の因果応報 ~本当にダサいのは誰だ~』


あの日曜日の午後。場所は高速道路。

俺たち家族4人は、父さんの愛車**「ランサーエボリューションVII(セブン)」**に乗っていた。


ラリーで戦うために生まれた4ドアセダン。足回りはバキバキに固められているため、ちょっとした段差でも**ガタン!ゴトン!**と車内に振動が響く。

それなのに父さんは、一番左の走行車線を制限速度きっかりで、ノロノロと走っている。


**「なんだよ父ちゃん、遅いよ~! GT-Rにスープラ、ZにRX-7……みんな抜かしていくじゃん! だせーなー!」**


俺(あの時の男の子)は後部座席で文句を言っていた。

せっかくのランエボなのに、軽自動車にも抜かれる始末。退屈で仕方がない。


その時だった。

後方から、聞き覚えのある甲高いエキゾーストノートが近づいてきた。


**フォォォォォーーーン!!!**


右側の追い越し車線に並びかけてきたのは、あの**真っ赤なスーパーカー**だ!

修理を終えたのか、ピカピカのボディが光っている。

左ハンドルの運転席にいるのは、間違いなくあのお兄さんだ。


お兄さんは俺たちのランエボに気づくと、わざわざ窓を開け、並走しながら叫んだ。

第1話の恨みを晴らすかのように。


**「おーい! ちんたら走ってんじゃねーよ! だっせー!!」**


お兄さんはニヤリと笑い、アクセルを全開にした。

爆音と共に、スーパーカーは矢のように追い越し車線をカッ飛んでいった。


**「あーっ! 言い返された! 父ちゃん、追っかけてよ!」**


俺が身を乗り出すと、ハンドルを握る父さんは冷静な顔でポツリと言った。


**「……あいつ、捕まるぞ」**


**「え?」**


父さんの言葉が終わるか終わらないかのタイミングだった。

スーパーカーが消えた前方から、けたたましいサイレンが響いてきた。


**ウゥゥゥゥゥーー!! フォン! フォン!**


**「覆面だ!」**


それから数キロ先。

路肩の広いスペースに、あの真っ赤なスーパーカーが停車させられていた。

後ろにはパトカー。回転灯が赤々と回っている。

お兄さんは車の外に出され、警察官にうなだれながら切符を切られていた。


俺たちのランエボは、その横を安全運転でゆっくりと通り過ぎる。

車窓からその光景を見た俺は、確信を持ってつぶやいた。


**「……やっぱり、ダサいのはあの人だ」**


父さんは何も言わず、少しだけ口角を上げてハンドルを握り続けていた。


(完)


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『表参道の悲劇~カッコいい俺とダサい俺~』* 志乃原七海 @09093495732p

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