スクリーンタイム

ヌーバ

 

スクリーンタイム。それは、人生を有意義に送ろうなどと妙な使命感に囚われた夜には、自分が捨てた現実の象徴のように重たくのしかかる。しかし0時になれば日付けと共に更新され、まるで新しい人生を始めようとするかのような、大それた気合の入った朝にはすっかり軽くなっている。朝の浪費を最小限にとどめ、(単に朝早く家を出る必要がある日であったためだとはまだ気付かずに)電車の中で新しくなった自分に酔う。午後になっても高揚感は続き、普段はだらけて過ごす時間に、いい感じの書店へ行き、それらしい本を買う。ここで油断してはいけない。本を読む場所も重要である。自宅に近いそこそこの大きさの公園に行き、人気のない場所を選び、上を向いて夕方の木漏れ日を味わってから読書を始める。難解な本との対話に没頭すること30分(結局意味はよく分からない)、隣のベンチに、一組の若いカップルが現れる。もとより勝ち目はないが、ここで取り乱すようではいけない。何食わぬ顔で本をポケットにいれ、できるだけ自然に席を立つ。手をポケットにつっこむことも忘れてはいけない。100歩ほど歩いて、ようやく安息の地を見つける。さながら誇り高き逃走者の気分である。


 この日の収穫は、「情けなさ」を知ることであった。そうしてまた1日を放棄し、画面と向き合う。夜が更け、本気をだす期限が迫ってくる。

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スクリーンタイム ヌーバ @ufssz

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