本物の見抜く慧眼の死――真実は白い闇の中に
- ★★★ Excellent!!!
極めて繊細な色の一つである『白』――その色の種類は優に200を超える。ブレない白を基調とした先の読めない展開と謎解き要素が魅力的な本作。
美しい物語のさなか、事件は起きる。
贋作との違いを見抜く類稀な審美眼が失われた。
それは微に入り細を穿つような慧眼で贋作を見抜いた優子だった。
裏ではその事実を恐れ、悪に手を染める存在が。
一体、誰が彼女を殺したのか?
そして、水を弾く白が施された彼女の遺体。
その本当の意図とは?
心を白く広げて物語の美しさを感じるもよし。
頭の中を黒のイメージで悪を炙り出すのもよし。
芸術的な筆致で描かれる謎の数々。
贋作を見抜く美術的なセンスの光る本格ミステリです。