第2話

「自然に抱かれると、自分がちっぽけに感じる」


そう言っていた女優が、笑われていた。

世間的には、滑稽に映ったのだろうか。


私は仕事で山に入る。

樹皮に残る、大きな爪痕。

一歩踏み外せば戻れない崖。


私は小さく、自然は大きい。

生も死も、私の一存では決められない。

最初から、その程度の存在。


けもの道を崩さないように歩く。

くもの巣を壊さないように、身をかがめる。

誰かの生活を、勝手に踏み越えないように。


私は彼らの目を、気にしている。

けれどそれは、礼儀に近い。


お互いの領分を侵さない。

ただ、それだけのこと。

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@omuro1

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