概要
冷めた私と、愛を失った彼女。水底に永遠の春を求めた、静謐な逃避行。
「人生は暇つぶし」 そう嘯き、社会という巨大なシステムの中でただ摩耗していくだけの日々を送る女子大生・日野森奏。 彼女にとって、いつも隣で太陽のように笑う友人・沙也加だけが、理解不能な「生」の象徴だった。しかし、ある春の日、沙也加の母親が事故で亡くなる。 それを境に、彼女の完璧な笑顔は剥がれ落ち、内側の「底の抜けた器」が露わになっていく。「ねえ、奏。私たちが一番綺麗でいられるうちに、終わりにしない?」愛を注いでも満たされない彼女と、涙すら枯れ果てた私。 行き場を失った二人は、桜が散り急ぐ春の海へと車を走らせる。これは、絶望の果てに唯一の「体温」を見つけた二人の、静かで美しい破滅の記録。
おすすめレビュー
書かれたレビューはまだありません
この小説の魅力を、あなたの言葉で伝えてみませんか?