同じ言葉や場面が繰り返される語りには独特のリズムがあり、いつの間にかその流れに身を委ねて読んでいました。証言という形をとっていることで、言葉の揺れや引っかかりが自然に生まれ、断片的な要素が少しずつ積み重なっていく印象を受けました。読者の側で想像が広がり、あとから「あの言葉は何だったのだろう」と振り返る余地が残ります。じっくり向き合いたくなる、そして味わいが深まる一編だと思います。
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