領主館という一つの場所の中で、それぞれの立場や距離感の違う使用人たちが、「特別」や「居場所」についてふと立ち止まって考える時間が描かれていて、とても余韻のあるお話でした。にぎやかな掛け合いの中に、恋人へのもどかしさや仕事への誇りがさりげなく織り込まれていて、誰もが自分なりの大事なものを抱えて生きていることが伝わってきます。結婚をめぐる冗談まじりの会話や、からかうようでいて背中を押してくれる先輩たちの言葉が温かく、読んでいる側までこの領主館の一員になったような気分になれる、落ち着いた味わいのある一篇でした。
領主館で暮らすのは、領主の御一家とたくさんの使用人達。登場人物それぞれのエピソードが、丁寧に綴られるこのシリーズが大好きです。今回のお話では、多くの人物の立場や想いが語られます。自分らしく在れる場所、必要な相手……自分にとっての「特別」は、きっと幸せや生きがいに繋がるものなのだと思います。とても素敵なお話です。是非是非お読み下さい。おススメ致します。
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