第4話

 過去にも、「ナンパ」めいたことをした経験がないわけではない。


 長い間精神を病んでひきこもりで、隔離されていたような状態で、それどころでなく、…


 幼虫だったセミが7年ぶりに地上に出てきて、羽化して、なんか解放感で

燥いているような塩梅?

 セミはバルタン星人のごとくに無表情なので、?燥いているかどうかはわからんが、狭い地中で真っ暗闇の時よりは、天空を自由に飛び回りつつ、高歌放吟している状況のほうがなんというか、カタルシスの原始的な萌芽?そういうのはあるかも、です。


 動物行動学には「吝嗇の法則」というのがあって、英語に訳すと「minimum evaluate rule」とか?  要するに「動物の行動の解釈は最も低級なものを採用せよ」というのがあるそうです。


 で、「生き物は遺伝子のビークル」という発想にも繋がる感じもあります。


 だから、逆にファーブルの「昆虫記」とかは、綿密にムシを観察して、一見「ただの虫ケラ」のナンセンスな行動?にも神様の配慮、みたいな「本能のチカラ」が肌理細かく行き届いていて、それに気付いたファーブルが感嘆ばかりしている印象があって、そっちによりリアリティある気もするが、セミのそういう不可思議な習性にもナニカのオカルティックな意味があるのかもしれない。


 スカラベ、はフンコロガシのことで、エジプトでは神聖な昆虫とされて、紋章や美術品の題材になっている。  フンから生まれてくるというので「再生の象徴」、「太陽のイコン」みたいに尊ばれた。


 そういう発想で、セミの習性を「艱難辛苦の尊さ」の教訓、錬金術的な、ある「大器晩成」という変貌やら「三日会わざれば刮目して待て」の、人間の成熟という現象の秘められた奇跡的な効果?


 そういうののシンボライズと見る…「豪奢の法則」を仮定したら、造化の神にはそういう意図があったやしれぬ。となるかもしれない!


 そう言えば佐藤春夫も羽化したばかりのみずみずしい翠色のセミの単眼を神様からの恩寵みたいに捉えるとか、そんな小説を書いていたことあった…

 

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小春日和に出逢った可愛い子。 夢美瑠瑠 @joeyasushi

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