読者の予想をことごとく、しかも良い意味で裏切ってくる痛快な作品です。
とにかくメアリー様のカリスマがやばい。もし私がこの世界にいたら、迷わず膝をついて忠誠を誓っていたでしょう。
文体は丁寧で、作者様の品格と構成力の高さが随所に感じられます。
一見するとRPG由来の王道ファンタジー世界ですが、実際には多層的に編まれた緻密な世界観が広がっており、読み進めるほどに深みに引き込まれます。
読後感も爽やか、続編の予感も多分にあり、ずっと追っていたくなる、浸っていたくなる物語。Web小説としては落ち着いた緻密な文章ですが、それがかえって物語の重厚さを引き立てています。
典型的なファンタジー好きにも、ファンタジーに少し疲れた方にも、そしてこれから好きになる方にも――誰にでも自信を持っておすすめできる一作です。
今作は、王道ファンタジーの導入から始まりながら、その期待を鮮やかに裏切る展開が非常に印象的な作品です。
物語の幕開けで勇者パーティが仲間の裏切りによって崩壊するという構成は、読者の安心感を一気に打ち砕き、否応なく物語世界へ引きずり込みます。
メアリーという存在は、単なる災厄や敵ではなく、敵味方の区別すら曖昧にする「混沌」の象徴として描かれており、その正体と目的が少しずつ明かされていく過程には強い緊張感があります。
誰が味方で、誰が敵なのか。
善と悪の境界が揺らぎ続ける中で下される選択は、常に重く、緊迫感に満ちています。
そのため一つ一つの展開に緩みがなく、読者はページをめくる手を止めることができません。
王道ファンタジーの皮を被りながら、その内側で善悪観そのものを問い直す、非常に挑戦的で読み応えのある一作です。
ぎょろす!
このお話は、同作者さまの短編『コルテーゼの魔界紀行』の長編版です。主役は同じくコルテーゼ。さらに素敵な先輩魔族さんたちも登場しており、賑やかで楽しさマシマシです!
冒頭では魔王討伐を誓う勇者と聖女が悲惨な目に遭います。これはそんな彼らが悲しみから立ち上がり奮起して魔王に立ち向かうお話——といっても間違いではないのですが、そこへ第三者的に魔王メアリーが介入することで、さまざまな思惑を持った人々がぶつかる形となります。
このお話の面白さは、一見、その目に見えているものが真実でない可能性がある、というところ。
勇者セリオスを裏切り、この世界の魔王グレーヴァ側についているロイド、囚われの身であろうアーシェルナ姫……そんな三人と、セリオスの聖女であるリンを加えた複雑な恋の行方も気になるところです。
コルテーゼの秘めたる恋、セリオスとの友情など、他にも見所がたくさんあります。
時にはしんみり、時には笑わせてくれたりと、緩急もあって飽きさせません!
勇者セリオスが辿り着く真実やいかに。
お薦めです(^^)!