強大な敵の手から大事な物を守り切れるのか

部屋を散らかす人は本当に散らかす。動線上にものを置き始めたら最後、その部屋はもう腐海への道を辿るのみ……なので最初は「魔王、きみが悪い」と思いました。
だって他人が指示したらどんどん片付くレベルの散らかり方なんて普段からゴミすら捨てない人のそれかと思ったんです。そういう人は夏場に飲み終わったホットのコーンスープ缶を発掘するしその中にはカビなのかキノコなのかよく分からないものを飼ってる(実体験からの偏見)ので同情の余地なし。

でも余地、あった。

断捨離に目覚めたミニマリスト、怖い。それがお母さんならなおさら怖い。
「なんですぐに片付けないの! 後でやる? そう言ってどうせやらないでしょ! お母さんがやることになるの!!」※作中の台詞じゃないです
日本のどこかで日々お母さんが言ってそうなこれ、大変理解できる。お母さんは忙しいから効率重視だし、子供が自分でできることは自分でやってもらいたい。それが効率を上げ、更には子供の自立を促すから全然間違ってない。
でもお母さん、断捨離には巻き込まないであげてほしい。

読みながら思わず「お母さんやめたげて! 保留はともかくいるものまで捨てないであげて!」と言いたくなりました。ときめくものは人によって違うんだもの、それを捨てさせたら人生が色褪せちゃう。

魔王とその仲間達はお母さんの魔の手から大事な物を守り切ることができるのか。
大掃除の季節、不穏な空気を感じる方は彼らの攻防を見て対処法を予習した方がいいかもしれません。