部屋を散らかす人は本当に散らかす。動線上にものを置き始めたら最後、その部屋はもう腐海への道を辿るのみ……なので最初は「魔王、きみが悪い」と思いました。
だって他人が指示したらどんどん片付くレベルの散らかり方なんて普段からゴミすら捨てない人のそれかと思ったんです。そういう人は夏場に飲み終わったホットのコーンスープ缶を発掘するしその中にはカビなのかキノコなのかよく分からないものを飼ってる(実体験からの偏見)ので同情の余地なし。
でも余地、あった。
断捨離に目覚めたミニマリスト、怖い。それがお母さんならなおさら怖い。
「なんですぐに片付けないの! 後でやる? そう言ってどうせやらないでしょ! お母さんがやることになるの!!」※作中の台詞じゃないです
日本のどこかで日々お母さんが言ってそうなこれ、大変理解できる。お母さんは忙しいから効率重視だし、子供が自分でできることは自分でやってもらいたい。それが効率を上げ、更には子供の自立を促すから全然間違ってない。
でもお母さん、断捨離には巻き込まないであげてほしい。
読みながら思わず「お母さんやめたげて! 保留はともかくいるものまで捨てないであげて!」と言いたくなりました。ときめくものは人によって違うんだもの、それを捨てさせたら人生が色褪せちゃう。
魔王とその仲間達はお母さんの魔の手から大事な物を守り切ることができるのか。
大掃除の季節、不穏な空気を感じる方は彼らの攻防を見て対処法を予習した方がいいかもしれません。
魔王のママ、最強魔女王はある日ミニマリストに転職しました。
そして魔王とその友である勇者一行の大荷物をダンシャリ(断捨離)しようとするのです。
僕らの聖域は守れるのか……!?
……というドタバタコメディーです。魔王と勇者がお友達な平和な世界です。
いやぁ、実に平和なお話でしてね、しかもめっちゃ笑えます。
ママの目には魔王たちのおもちゃや本は全部ガラクタに見えています。なので全部捨てようとするのです。そう、それはもう無慈悲に容赦なく。
それをどうにか阻止しようと魔王や元魔王(パパ)、勇者一行は頑張るのですよ。
人から見たらゴミでも、自分にとっては大切な『ときめくモノ』ってありますよね。
それをいかにして守るか。守れるのか!? ミニマリストの断捨離から守れるのか!?
作者様のさすがの筆力でぐいぐいと読ませます。テンポが良いです。宇部松清様の文章はとにかくリズムとテンポが良いです。
1万字の短編ですが、あっという間に読めます。
「もう終わっちゃうの……」
って寂しくなる事間違いなし。
魔女王と息子魔王、元魔王パパ、勇者一行、勝つのは誰だ!?