第65話 第2波襲来

 老人たちは近くのベンチで休憩してもらい、レイとカグヤは老人たちから離れた所で話し合う。


「改めて、助けてくれたことに感謝する、レイ。」

「気にしないでくれ、カグヤ・ミリアムに会えたことが何よりもの収穫だ。そういえばさっき、マクセルの事を兄さんって言ってたよな?」

「そうね、あたしの元の名前は、カグヤ・シェングン、マクセル兄さんの実の妹だよ。ミリアム家に嫁ぐまでは、あたしもギルド関係の仕事も手伝っていた。」

「すごいな、ギルドの運営から鍛冶屋としても働くなんて。」


 カグヤ・ミリアム。


 32歳、女性、マクセルの妹で、ミリアム家に嫁いでいる、イリオス屈指の鍛冶職人。

 赤髪のショートヘアーに、黒いバンダナを巻いており、体はマクセル程ではないが筋肉質、出ている所は出ており、目の形はシャープ。

 顔たちもシャープ且つ声も低いことで、怖さを感じる雰囲気だが言葉使いは優しく頼もしいという言葉が似合う女性。

 背中には、凡人では持つこともできない重さの黒いハンマーをさげる。


「あたしを探しにここに来たんだろ?」

「ああ、依頼したいことがあってな。でも、今はカグヤの言っていたことの方が気になる、どうしてここを襲ったのがオオカミ型のただのモンスターじゃないと思うんだ?」

「動きだ、この村の要となる建物や人を目標として真っ先に狙っているように見えた。だから、ここの村長の家は最初に襲撃された。」

「……そうなのか、この村が被害にあった状況とか調べたい、カグヤも何か思うことがあるみたいだし、協力させてくれ。」

「その申し出は有難い、そっちの優先事項はいいのか?」

「俺にとっては、村が襲われた原因追求の方が優先事項さ。」


 オウロは男達10人を縛り上げ、壊れかけの建物の中にしまい終え、レイと合流する。


「レイくん!通りかかった馬車の運転手に、自警団を要請したから数十分あれば来ると思うよ。申し遅れました、オルデン・アトラスと言います。あなたが、カグヤ・ミリアムさんでよろしいですか?」

「うん、そうだよ。あなたにも助けられた、お礼をさせて頂くわ。」

「いえ、命に別状はなさそうでホッとしました。レイくん、これからどうするんだい?」

「この村が何で狙われたのか、どんな風に襲われたのか調べたい。もしかしたら、俺達が追っている2足歩行オオカミ型モンスターが関わっているかもしれないから。」

「……なるほど、了解!」


 レイとオウロ、カグヤの3名は村の状況を確認していく。


 建物は跡形もなく破壊され、血痕も多数。

 さらには、燃やされている建物もあり悲惨な襲撃だったことが分かる。


 そこに、3人は疑問を覚えた。


「建物を壊して、人を襲うのまではモンスターの行動として理解できる。ただ、この燃え方は違和感しかないな。」

「あたしも同意見、この建物はドアや窓を破壊して逃げ場を無くし、外から火をつけたように見える。……放火のやり方よね。」

「確かに、でもなんでそんなことをする必要が?そもそも、モンスターは人を襲うことはあっても家を壊すことに重きを置くとは思えない……だから、2足歩行オオカミ型が出て来るんだね。」

「俺はそう睨んでる。この村の重要人物は、カグヤを含めて何人かいたはずだ。カグヤは何とか生き延びたみたいだけど、他の人は命を落としている。。」


 3人の考えはこうだ。


 モンスターの襲撃と見せかけて裏で糸を引いている者がおり、2足歩行オオカミ型モンスターを向かわせ、この村の重要人物を邪魔者とする人たちが存在していると。

 今回の盗賊は、後処理として雇われた身に過ぎないと。


「くそっ、こんなこと許されちゃいけない。人の命を自分の計画の為に勝手に奪うなんて、そんな権利は誰にもない。」

「君の言う通りだね、あたしもこの村を襲ったやつを許せない。必ず捕まえてやる。」

「僕も同意見です。状況は確認できたので、まずは盗賊たちを受け渡して─。」

「何か来る!2人とも構えろ!」


 レイの耳は、遠くから迫る何かを捉えていた。

 足音が徐々に大きくなり、レイ達の方に迫る。


(この音、人間だけじゃない、他に何かいる。それに、この匂いはなんだ、俺の理解できない匂いだ、

「正門の方だ!レイくん、カグヤさん!」

「治療してもらったんだ、あたしもやらせてもらうよ!」


 3人が構えると、正門から大きな黒い物体が近づいて来る。


「ちっ、やっぱりかよ。嫌な勘ってのは本当によく当たるな。」


 レイ達の前に現れたのは、これまでよりも1回り大きい2足歩行オオカミ型モンスター。

 特段手足の爪がさらに尖れており、鋭さが見て取れる。


「オウロ、カグヤ、こいつの数十m後に人の姿も見える、あいつらがこいつを向かわせたに違いない。」

「了解、僕とレイくんでこのモンスターは引き受けます、カグヤさんは盗賊の方をお願いしてもいいですか?」

「任せて、2人の強さはさっき見て分かっているけど、敢えて言うわ。

「おおっ、怖い喝のいれ方だな。分かった、いくぞ2人共!」


 レイ、オウロ、カグヤ3人での戦闘が始まった。

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