第66話 心の向くまま
カグヤはその場に留まり、レイとオウロが正面から2足歩行オオカミ型モンスターと対峙する。
「オウロ、このオオカミ型今までと何か違う。サイズだけじゃない、嫌な感じがする、慎重に行くぞ。」
「レイくんの勘だね、信じるよ!正面は引き受ける、背後を狙ってくれ!」
「ああ!」
レイはチーターのような高速かつ細かいステップでオオカミ型に近づき、振り下ろされる爪を避けスライディングで股下をくぐる。
後方に立ったレイを狙うオオカミ型に対し、
「
後頭部目掛け、高く跳びあがったオウロがかかと落としを放つ。
しかし、
ガギンッという金属音が響き渡る。
オウロの姿を見ていないのに、オオカミ型は彼の攻撃を爪で受け止めたのだ。
「っ!?反射で受け止められた─。」
「離れろ!」
カグヤの声に反応したオウロは、もう片方の足でオオカミ型の手を蹴り距離を取ることで爪の追撃を躱す。
爪はオウロに当たらず、倒壊した家を吹き飛ばす。
その威力は一撃でも当たれば致命傷なのが分かる。
「助かりました、カグヤさん。」
「気にしないでくれ、それより本当にこいつはモンスターなのかい?あたしの知るモンスターとは、似ても似つかない雰囲気がするよ。」
「確かに、戦い方がモンスターとは思えない、それに知性すら感じます。」
「でも、隙があれば狙える。三の型、
抜刀と共に、レイの回転斬りがオオカミ型を襲う。
反応こそしたオオカミ型だったが、足に切り傷が生まれ赤い血を垂らす。
オオカミ型の反応が、オウロの攻撃よりも遅いのも確認できた。
「ガゥゥ!」
「判断が遅いぞ。
続けてレイは居合斬りを放ち、右足にさらに傷を生みだす。
だが、大きなダメージにはなっていなかった。
「ちっ、大きいだけじゃなく硬いな。オウロ、外からの攻撃だけじゃ厳しい、衝撃波で動きを止めるぞ!」
「了解した!」
レイは敢えてオオカミ型の正面に立ち、自分を狙わせる。
「グルルゥゥ!」
「お前を苦しませてるのは、いったいなんだ。」
鋭い爪を軽やかにかわし、体に掠めそうな攻撃は黒剣で受け流す。
オオカミ型は確実にレイの命を奪おうとしている。
それでも、レイはオオカミ型から違和感を覚えずにはいられなかった。
「レイくん!右腕を!」
「分かった!」
レイは振り下ろされるオオカミ型の右腕を正面から受け止め、両足が地面に数センチめり込む。
そこに生まれた一瞬の隙をオウロは見逃さず、
「
腰を落とした掌底突きがオオカミ型の背中に直撃。
硬い皮の内側に衝撃を受けたオオカミ型は顎を上げる。
レイはオオカミ型の動きを予測していたかのように黒剣を構え、
「一の型、
抜刀の斬り上げがオオカミ型の顎から顔にかけて襲い、痛みに耐えられなかったオオカミ型はその場に倒れ込む。
「カグヤ!」
「任せてもらうよ!」
レイの合図でカグヤは巨大ハンマーを構え、高く跳び上がりオオカミ型の腹目掛け振り下ろす。
その大きな衝撃はオオカミ型を貫き、地面を凹ませ意識を失わせた。
3人の連携で、オオカミ型をダウンさせることに成功。
「ひっ、ひぃ!」
「おい!あいつら逃げるぞ!」
カグヤの目には、遠くから様子を伺っていた盗賊達が逃げる姿が。
「逃さないよ、僕が追いかけるから2人はオオカミ型をお願い!」
「分かった、無茶はするなよ、オウロ。」
「了解!」
オウロは盗賊達を追いかけ、レイ達から離れる。
廃村に静寂が訪れ、レイとカグヤはオオカミ型を縄で縛り付けていた。
「よしっ、これで暴れても対処できるだろ。」
「ええ、あたしだけじゃどうにも出来なかった、来てくれて本当にありがとう。」
「巡り合いだろ、こう言う出会いってのは。それにカグヤはすごい、ここの村に戻ってきたのはまだ生き残ってる人がいるって思ってたからだろ?」
「なぜそう思うんだ?」
レイは老夫婦を避難させた方向を指差す。
「あの2人は比較的安全な場所に隠れてた、多分あんたの指示だろ。それでも、大半の人を失ったカグヤは苦しみを乗り越えて助けに戻ってきた、そこにたまたま盗賊がいて戦闘になった、てところだろ?」
「凄いな君は、洞察力、判断力、どれも優れている。レイの言う通りだ、あたしは自己満足だとしても1人でも多く助けたかった、でも、結果は─。」
「2人助けた、それがどれだけ凄いことか。俺は、カグヤの行動を心から……なんて言えばいいか、その、ええと。」
「どうした?急に歯切れが悪いぞ。」
「言葉が出てこなくて、だから、その─。」
言葉を探しているレイに、
(うっ!?おい、このタイミングでかよ、くそっ。)
記憶や感情を思い出す時の予兆である、鋭い頭痛がレイを襲った。
ふらつくレイをカグヤは咄嗟に支え、
「どうしたレイ!顔色が悪いぞ、何があった─。」
「悪い、カグヤ、多分俺は、少し動けなく、なる。でも、必ず帰るから、カグヤは安全な、ところ、に……。」
レイの視界が暗くなり、体から力が抜ける。
レイは次目を覚ます時、何を思い出すのか。
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