第55話 共同作戦

 レイとセレジアは洞窟で一晩過ごし、近くの村で薬や食料をレイは調達し洞窟に戻った。


 村で看病してもらうことを提案したが、騎士団を奇襲してきた者が先回りしてることを想定し、セレジアは2人で洞窟で過ごすことを依頼した。


 洞窟では、レイが釣った魚や買ってきた野菜、肉を焼いてBBQの様にして食べ進めていた。


 セレジアも解熱剤や薬草を使用し、レイが予想していたよりも早く完治に向かっていた。



 そして、2日目の夜、


「セレジアの回復力も異様だな、3日は必要だと思ったけど2日で動けそうに見える。」

「あなたのおかげよ、レイ。私も日ごろから鍛えているからね、体が正常に戻ろうとするスピードが速いんだと思うわ。」

「鍛えているのか、それもだけどあれだけ飯を食っているからな気がするけどな─。」

「何か問題?」


 レイは肉を4人前、野菜も同様に買ってきてレイは1人前、セレジアは3人前を食べていた。


 今焼いている魚も8匹、割り振りは2匹と6匹でセレジアに多くわたる予定だ。


「食べ盛りな年ごろ、ってわけでもないよな。俺もよく食べるけど、セレジアもなかなかだな。」

「そうかしら?私は普通だと思っているわよ、栄養は出来るだけ体に入れておきたいからね。」

「その栄養は、どこにつくんだろうな。」

「今お腹を見つめたら凍り付けにするわよ?」

「そんな自殺行為はしねぇよ。」


 レイは焼けた魚を手渡し、2人で食べ進める。


 そこで、セレジアは1つ疑問が浮かぶ。


「そういえば、あなたはどうやって魚を釣っているの?見た所釣り竿はないみたいだけど。」

「ん?釣り竿じゃ効率悪いと思って、手で獲ってる。」

「手づかみ!?そんなことできるの?」

「ああ、気配を消せば行けたぞ。」


 レイは近くの川で、魚をこれまで捕らえていた。


 やり方はシンプル、川の中腹まで進み魚が泳いでいることを確認し、呼吸を整え息を止めるタイミングで気配を消す。


 それまでレイを避けて泳いでいた魚が、気配を消したレイにぶつかり動きを鈍らせる。


 その瞬間、レイはその手で魚を掴み食料としていた。



「あなた、前世は熊なの?そんなやり方出来る人、私は初めて聞いたわ。」

「俺も出来るとは思ってなかったよ、直感でやってみたら出来たんだ、結果オーライだろ?」

「はぁ、あなたには驚かされることばかりで初めの頃より冷静に聞けるようになってしまったわ。」

「いい成長だな、俺の直感はよく当たるみたいだ、頼ってくれていいぜ。」

「そうね、根拠のない直感もたまには信じてみてもいいわね。明日には私も動けそうだから、作戦を話しておくわね。」


 セレジアは魚を食べ終え、レイに作戦を提示する。


「まずはレイが先に行ってくれた村に向かうわ。そこから、この地域で起きてる事件がないか確認する、もちろん黒服たちの情報も忘れずに。」

「事件って、具体的にどんなのだ?」

「あなたも戦ったことある、2足歩行のオオカミ型モンスターの情報を手に入れようと思うわ。黒服とあのモンスターは、関係が0じゃないと私は予想している。」

「なるほどな、それからは情報を得つつしらみつぶしに回る感じか?」

「そうね、情報が少ない分、足で稼がないといけなくなるわ。あなたならいけるでしょ?」

「ああ、頭で考えるより体を動かす方が得意だ。」


 その後、レイとセレジアは情報を得つつ黒服の拠点並びに、騎士団を襲った者が何者なのかを調べることを軸に動くことで今後の方針を決定した。



「俺とセレジアでの行動か、楽しみなような不安なような。」

「なに?私とペアで動くのが嫌だと?」

「いや、そうじゃない。ただ、俺も最初の村でお尋ね者になった人間だし、セレジアも狙われる身分の人間だ、何もないとは思えなくてな。」

「大丈夫よ、私とあなたなら大抵のことはなんとかできる気がするわ、私の知るあなたは強いし、あなたの知る私も強いでしょ?だったら、道を切り開いて進むだけよ。」

「そうだな、余計な心配だった。」


 2人は眠りにつき、朝日が昇ると共に身支度をし作戦開始の準備が出来た。



「まずは近くの村に行くんだよな、ここから20分も歩けば辿り着く、体調は平気か?」

「ええ、おかげさまで9割以上回復したわ。この一軒が終わったら、お礼をさせて頂戴。」

「お礼か、パンケーキでいいぜ!」

「命の恩人にそれだけでは私の信念が許さないわ。だったら、あのお店を貸し切ってビュッフェ式にしてもらうのでどうかしら?」

「それ、俺は嬉しいけどセレジアもただ食べたいだけじゃないのか?」

「あら、何か悪い?」


 2人は日の光を浴び、遠くに見える村を見つめる。


「いいや、材料を切らせたら悪いから多めに仕入れてもらうように言っておいてくれ。」

「ええ。それと、今回の事が片ついたら話しておきたいことがあるの、聞いてくれる?」

「ん?ああ、いいぜ、セレジアの話してくれることだ、為になることな気がするし喜んで聞く。」

「分かったわ、それじゃあ行きましょう、レイ。」


 洞窟を出て、2人は村へと向かい歩き始めた。


 レイとセレジアが共に行動するのはこれが初めて。

 戦う上でも、2人は良い連携を生み出せるのか?




 10分ほど歩いた先、2人の耳にとある音が響く。


「だれかぁぁ!」

「っ!?」


 1人の女性の悲鳴が、レイ達の進む林に木霊した。

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