第46話 パートナー
レイとアンリは広場に大きな穴や傷跡を生み出しながらも、武器を交える。
戦いは、アンリに分がある。
鋭さとキレはアンリが圧倒的に良く、レイはアンリの攻撃に対応していくことしかできない。
無理やりに放った、
その隙を狙って、アンリはダガーで素早い動きを取り入れつつレイを襲う。
「兄さん、あなたの本能が邪魔していてもうちとここまで張り合えるんです、その力が危険なのはもうお分かりですよね。」
「確かに、俺の力を間違って使ったらどれだけの人を危険に晒すか理解しているつもりだ。だから、アンリに傍にいて欲しいんだ、間違った俺を正してほしい、俺のわがままなのは理解している。」
「うちらの流派がそれだけ柔軟だったら、未来は変わったかもしれませんね。でも、変えてはいけないものもあるんです。三段、
先程の
全てを弾けないと判断したレイは、危険な攻撃のみを弾き体の部分部分から出血が。
(アンリの攻撃、俺とはやっぱり非対称だ。俺が
「生きる意志が昔より強くなりましたね、兄さん。いえ、誰かのために生きる意志が強くなった、が正しい認識でしょうか。そんな兄さんだから、あの時うちらを庇って─。」
「アンリ、何を言って─。」
レイは瞬間的に気が付いた、自分の体の限界を。
(っ!?なんだ、足が重い、錘でも結ばれているかのように。腕も、千切れてしまうみたいに痛い、本能に抗ってアンリと戦った代償が出たのか─。)
「相手の隙を見つけたら一気に畳みかけて、息の根を止めるのが
レイの動きが鈍くなったことを認識したアンリは、足を狙ってダガーを1本投げつける。
黒剣で弾く前に、足を掠め片膝立ちになり前から接近するアンリに向け黒剣を構える前に、
もう1本のダガーが首元に触れる。
アンリはレイの首を斬り裂く直前で止め、切っ先から血が1滴地面に落ちた。
「……兄さん、これで終わりです。遺言があれば、お聞きします。」
「……優しいな、アンリ。遺言か……。」
首にダガーが突き付けられている状況、パニックになってもおかしくない場面でもレイは平静を保ち、アンリに向け微笑んで、
「哀れな兄を殺させたこと、気に止まないでくれ。アンリは、何も悪くない、俺の罪だ。」
「っ!?……変わりませんね、兄さん。」
アンリは涙を浮かべ、ダガーに力を込める。
レイも正面から受け止めようと目を瞑る。
空気が乾き、静かな風が2人の紙を揺らす。
覚悟を決めたアンリ。
そこへ、
「っ!?」
アンリはレイから距離を取り、
「誰ですか!」
「勝手に僕のパートナーを傷つけないで欲しいな、女性の戦士さん。」
「あなた、何故ここが。」
「……オウロ。」
アンリは殺気を感じ取り、レイから距離を取ったのだ。
その殺気の主は、
オウロであった。
レイとアンリの間に跳んで入り、レイの前に立つ。
「オウロ、何でここに。」
「エリさんから聞いた、レイ君がパトラに向かったって。来てみれば、スタンピードは片づいているのに姿がない君の事が不安になって、探してみれば戦闘中の2人を見つけた。」
「あなたが、兄さんと一緒に行動しているというオウロさんですね、ここに来たということはお分かりですよね。」
「なんとなく状況は理解した、あのレイ君が君に無抵抗でやられるわけがない、相当の訳があるんだろ。でも、僕はレイ君を失うつもりはない、どうしても彼を排除したいなら、まずは。」
オウロの目つきが鋭くなり、飢えたオオカミの様に殺気立っていた、
そして、
「僕を殺して見せろ、邪魔者。」
「くっ、ではお望み通りにさせて頂きます!」
アンリは再び2本のダガーを構え、オウロに向け一直線。
「オウロ、あいつは─。」
「レイ君、出来ることはするつもりだ。僕は、君が悲しむ顔を見たくない、どうか見守っていてくれ。」
「……分かった、すまない。」
「よしてくれ、僕は君のパートナーだろ?」
オウロも拳を構え、アンリを迎えうつ。
拳とダガーが弾きあい、甲高い金属音と草花が狩り取られる軽い音が響く。
レイは2人の戦いを見守ることしかできなかった。
(俺は、オウロにもアンリにも死んで欲しくない、何か、何か手はないのか、無駄な命を散らさないための最善は、ないのか。)
レイの願いをよそ目に、
「レイ君を傷つけたこと、存分に後悔してもらうよ。」
「あなたは兄さんにとって危険な気がします、ここであなたを排除するのはこれからにいい未来をもたらしてくれるはず。遠慮はいりません、正々堂々と戦いましょう。」
「いいよ、どちらが最後に立っているかここで証明しようじゃないか、謎多き女戦士!」
レイの事を思う、オウロとアンリの戦いが始まってしまった。
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