第3話 傭兵

 朝を迎えたレイは、2日前に買ってあった干し肉と牛乳を朝食に摂り、着替え、仕事の準備を進めた。


 外は快晴、村は商いの声で賑やかになっており、人の横行も多く見える。


 その村を見ながら、無表情でレイは剣を持つ。


(今日もクエストを受けて、誰かついてくるならそれに従うか。お金がないと生きていけないし、稼がないと死んでしまう。)


 剣を見つめ、所々に傷があることに気がつく。


(武器の手入れもしないとな、これがないと俺は多分金を稼ぐ手段をなくす、命の次に大切なものだからな。)


 準備を終えたレイは宿屋から外に出る。

 宿の店主から小さな声で、

 行ってらっしゃい。

 と見送られる。


 日差しを浴び、クエストを確認しに、傭兵団の施設へと向かう。



 その道中、とある気配を感じ取った。

(俺を誰か尾行してる?視線が俺が向かう方向に常に合わさってる、偶然じゃないよな。これまでの傭兵とは違う、俺に用があるのか?)


 レイが振り返ると、尾行している人間は見当たらない。


(俺が振り向くタイミングで、視線を完全に外してる。足音も気配も消せるあたり、同じ傭兵なのかそれとも別の何か?……まあいいか、姿を現さないなら相手にする必要はない。)


 そのまま傭兵団の施設に向かう。




 レイから100m以上離れたところで、昨夜レイの部屋の外に立っていた者が家の壁に隠れていた。


(ふぅ、彼はなんでぼくのことを気付けるんだ?距離がこれだけあるのに、的確に僕の位置を見つめてくる、怖い怖い。)


 レイは傭兵団の施設に辿り着き、そこで昨日の3人の傭兵と出会う。


「おおっ!迷い人!待ってたぜ!」

「レイさんよ、今日も一緒にクエスト行かねえか?」

「分かった、問題ない。」

「さすが、話が早くて助かるぜ!」


 男達3人は、クエストをすでに受けており、受付嬢から説明を受けていた。


 クエストの紙には、内容と報酬が書かれており、

 一瞬であったが、報酬の部分だけレイの目に映った。


(今回の報酬、銀貨8枚?って見えたな、等分したとして1人2枚、少しは貯金もできるか。)


 そのままクエストの目的地に向け、4人は歩みを進めた。


 ペレの村から、目的地まで約30分。

 先頭を傭兵3人組が歩き、レイは後方で辺りを警戒していた。



 ただ、目的地に近づくに連れ、傭兵の男達は後方を歩きレイが先頭で歩いていた。


 道中は小型モンスターがいなく、レイは違和感を覚える。


(この方角、この前来た時は虫モンスターが何体かいたはず、今日は1体もいないのは理由があるのか?誰か先に来て掃除でもした?だとしたら、このクエストは完了になるはず……嫌な予感がする。)

「レイ、どうした?」

「……いや、何でもない。」



 そのまま先に進むと、レイは地面に大きな足跡を発見する。

 周りに報告する前にその場にしゃがみ、土を手に取る。


(植物が踏まれてからあまり時間が経ってない、モンスター独特の匂いも残ってる、近くにいるのか?けど、どこに隠れて。)

「おい、どうした?腹でも下したか?」

「いや、この近くにクエストのモンスターが……っ!?避けろ!」


 振り返ったレイの目に、傭兵3人に向け襲いかかる昨日戦闘した虎型モンスターが映る。


 黄色ベースに、黒に斑点が特徴のモンスターで、殺気立っているのが見て取れる。

 昨日の虎型モンスターは、男達3人によりトドメを刺された。


「うぁぁ!!」

「た、助けてくれ!」


 鋭い巨大な爪が傭兵3人に振り下ろされる。

 爪が3人の顔面に迫り、残り15cm。




 そこへ、レイが高速で剣を抜き接近。


岩砕撃ボルケーン!」


 反射で動き、剣を虎型モンスターと傭兵の間に全力で振り下ろし、地面を砕く。

 その衝撃で、虎型モンスターは距離を取る。


 だが、爪がレイの左肩を裂き、血が垂れる。


「こいつ、昨日の個体の家族か何かか?」

「わ、分からねえ、モンスターの生態はわからないことだらけなんだ。と、とにかく、早くこいつを倒せ!」

「分かった。」



 レイは左肩を負傷したが、剣を構えるのに大きな支障はないことを確認し虎型モンスターと対峙する。


「がぁぁ!!!」

「お前は、俺たちに大切な家族を奪われたのかもな。恨んでくれ、俺だけを気が済むまで。」


 振り下ろされる爪に対し、レイはギリギリで反応し直撃を避ける。


 地面が削られ、虎型モンスターのターゲットは3人の傭兵へ。


「ひぃぃ!!」


 傭兵達は武器を構える余裕もなく虎型モンスターに圧倒される。


「おい!レイ早く助けろ!」

「分かった。」


 剣を構え、レイが接近すると虎型モンスターは予測していたかのように足で蹴り飛ばす。

 地面を削りながら、何とか止まるレイ。


「えほっ、手の方だったら殺されてたな。」

「早く来い!迷い人!」


 吹き飛ばされた影響で距離を取らされ、さらに男達3人は逃げているため50m程度ある。


「やらせない。」


 地面にヒビを入れるほど強く蹴り、虎型モンスターを背後から追う。


「がぁぁ!」


 足蹴りを再度放つ虎型モンスターだが、


「同じ手は食わない。」


 足蹴りを避けるように高く飛び、剣を構え、


岩砕撃ボルケーン。」


 空からの渾身の一撃が、虎型モンスターを切り裂く。

 着地に続けて、


「眠れ。」


 横一閃の一撃で頭を斬り、虎型モンスターは赤い魔石に変わる。


 レイは怪我を負ったが、何とか勝利を収めた。


「い、生きてる?」

「生きてるよ、ほら、帰るぞ。」

「お、おお。」


 クエストを達成した4人は、ペレの村まで戻る。


 傭兵3人組は無傷、レイは肩と腹に傷を負った。

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