第2話 村に帰還

 レイは虎型モンスターとの戦闘を終え、ペレの村に戻ってきた。


 ペレの村は、木造の建物が多く大きな建造物は特にない落ち着く田舎の雰囲気。

 人も100人程度しか住んでいなく、全員が顔見知りというレベルの村だ。


 そこで、先ほど共に戦った3人の傭兵と合流する。

 奥に見える剣のエンブレムがある建物から出てきたのだ。


 男達は手に白い袋を持ち、レイに気が付き中に手を入れる。


「おお!迷い人!ちょうど探してたぜ!遅いから会えないかと思ったぜ!」

「俺もだ、今回の報酬は?」

「あいよ、これで4分割だ!」


 レイは銅貨と銀貨を手に乗せられる。

 銀貨1枚、銅貨3枚であった。


「助かったぜ!またよろしくな!」

「ああ。」


 傭兵達3人は笑顔でその場から離れていく。




 この世界の金銭は、銅貨、銀貨、金貨で成り立っている。


 銅貨10枚で、銀貨1枚の価値。

 銀貨10枚で、金貨1枚の価値である。


 平均的費用として、


 食事1回にかかるのが、銅貨5枚。

 宿泊に、銀貨1枚。

 グレードによるが、王都では銀貨と金貨しか流通していない世界だ。


 今回はレイのもらった報酬では、約2食分にしかならないというのが現実。



 命を懸けてモンスターを倒した対価としては、低いと感じるのが普通だろう。


 だが、この世界の常識を知らないレイはこの現実に何も逆らわず、そのまま受け取ることしかしなかった。



 また、彼はこの村ではと呼ばれており、村の人たちに認識されているが彼の暮らしについては誰も言及しなかった。

 孤立しているといっても良いだろう。



 理由は簡単、レイは恐れられているのだ。



 レイは記憶がなく、感情も外に出せないため、

 何を考えているか分からない、

 危険な人間だと噂だけが流れ、

 接する人は極端に少なかった。


 今回の報酬を足して、レイの手持ちは銀貨2枚と、銅貨8枚。


 日も傾いてきた為、小麦の中に野菜を一口サイズに切って練りあげたものを焼き上げた、パンを2つ買いいつもの宿に戻る。


 宿は連日借りている為、本来銀貨1枚1日で必要なところ、銅貨8枚で泊めさせてもらっている。



 部屋にはベッドと、武器置き場、クローゼットのみとシンプルなスタイル。

 そんな部屋で、レイは買ってきたパンを2つ食べ、シャワーを浴び、寝る準備を済ませる。


 シャワーの途中で、今日の戦闘で腕に切り傷があることに気がつく。


(さっきの虎型モンスターとの戦闘で掠めてたのか、痛みを感じなかったから気が付かなかった。いや、いつものことか。)


 痛みはもちろんレイでも感じる。

 しかし、感情を無くしてることで周りの人に伝えられず、それが恐れられることにつながっている。


 どれだけ危険なモンスターだとしても、表情が変わらないことで、レイという人間は奇妙とも言われる。



 寝る準備を終えたレイはベッドに寝転がり、天井を見上げる。


(ペレの村に来てから、確か2週間くらいだったよな。村の人たちに助けられて、目を覚ましたら医務室の中だった。周りの人に言われて気づいたのは、俺が記憶を無くしてること、感情もないってこと。)



 レイという名前は、本当の彼の名前ではない。


 ペレの医務室で目を覚ましたレイは、記憶がなく感情も出さない姿に周りが恐怖を感じ始めたことに気がつき、咄嗟に口から出たのがレイという名前だった。


 記憶喪失になる前、レイは戦闘経験があったのだろう。

 自分の長所を探すべく、そしてお金を稼ぐためにいろんなことに挑戦し、最後にたどり着いたのは傭兵でモンスターを倒すことであった。


 ペレの村の長が剣を持たせ、外で傭兵と行動させたところ、レイはモンスターを倒すことに秀でており、特に、


 その理由は、本人も理解できていない。

 それでも、戦闘に秀でているレイはこの村では傭兵として生きている。



 最後に、この世界のモンスターは、倒されることで魔石と呼ばれる鉱石に変わり、武器の素材や防具の素材、アクセサリーなどで使われる為高額で取引される。


 しかし、モンスターも人にやられるわけにいかない。

 生息地域はモンスターにより違うが、人とモンスターが出会えば戦闘は回避できない。


 そして、モンスターの生態についてはまだ分からないことだらけのため、人側も恐れる対象にしている。


(俺は、本当は誰なんだ?この世界の人間なのか?それとも誰かに造られた?どこかから連れてこられた?いつか、知れる日が来るのかな。そもそも、本当に記憶喪失なのか、分からないことが多すぎる。)


 迷いを感じているレイは、体が疲れていることもありそのまま眠りにつく。





 同時刻、レイの部屋の外では、1人新たに泊まりにきた人間が立ち止まっていた。

 手足に金属の装備をつけ、武人のような姿。


(ここにいたのか、探すのに時間がかかったよ、まったく。まあ、生きているなら問題ない。さあて、いつから動くかな。)


 フードを被り、顔が見えない部屋の外に立つ1人の人間はレイのことを知っているのだろうか?

 なぜレイの元にやってきたのか?




 そして夜が明け、日差しが部屋に差し込みレイは目を覚ました。



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