第172話 武器製作

 リンとセラは蝙蝠型モンスターを倒し、魔石の回収と共に極鋼レアクロムの元による。


 近くで見れば、鉱山の中では眩しいとすら感じるほどに輝いている。


 カグヤから教えられた通り、鉱石の周りを小型のピッケルで削り、外せるようになった段階で素早く手に取りバッグにしまった。


 必要な鉱石は5つ。

 同じ手順で鉱石を全て集め、リンとセラは走って鉱山を抜け馬に跨り、シオンへと向かった。


 極鋼レアクロム採掘は問題なく終わり、後は時間との勝負であった。



 その頃、シオンでは先にアンジェとオウロが戻っていた。


「さすが2人の仕事は完璧だね、極鉄レアアイゼンの数も質もかなり良い。これなら、予想以上に良いものが作れる気がするよ。」

「良かったです!うちらの作戦もバッチリでしたね、オウロさん!」

「ああ、後はリンくんたちが戻ってくるのを祈るだけだね。」

「私はリンさんとセラ様が見えるか、門の近くにスタンバイしてますね!」


 レムはシオンの門へと向かう。


 アンジェ、オウロ、カグヤはこれから作る武器の順番を話していた。


「兄さんのから作り始めるのですか?」

「そうだね、リンの武器、ワノモトで刀と呼ばれている武器は、使う鉱石こそ少ないが特殊な武器である分1回で成功する保証がない。厄介な武器作りから、あたしはやりたいからね。そういえば、オウロのグローブはどうだった?」

「おかげさまで、とても使いやすく動きも軽くなった気がしました。」

「そりゃあ良かったよ。鍛治職人として、武器はあたし達の命を分けてるといってもいい。大切に、そして自分を守るために使ってくれよ。」

「……はい、ありがとうございます。」


 オウロはアンジェを排除しようと今回の作戦の間に考えたが、アンジェの受け入れる心、器の大きさに圧倒させられ、今は支援課ダーヴとして活動することを誓っていた。


 アンジェも約束通り、今回の一連の出来事は何一つ話さなかった。



 そこへ、


「皆さん!リンさんとセラ様も戻ってこられましたよ!」

「さすが、あの2人の方こそ心配してなかったが、良いタイミングだね。」

「カグヤ!みんな!取ってきたぞ!」


 リンとセラは馬から降り、鞄をカグヤに託す。


 カバンの中身を見ると、


「っ!?すごいな、ここまで純度の高い極鋼レアクロムは初めて見たな。ラドン鉱山はそれだけ人の手が加わっていないんだろうね。」

「確かに、1体のモンスターを除いて戦闘にはならなかったわね。これで足りそうかしら?」

「はい、十分です。ただ、まだ終わりじゃない、ここからがあたしにとってはスタートです、リン、君の武器を作り始めるよ。」

「おっ、俺からか!?ありがとう、頼むぞカグヤ!」

「任せておくれ、みんなの頑張りを無駄にはしないよ。」


 カグヤは鍛治職人として使うハンマーなどの工具を準備し、近くには炉があり、作業に入った。


 その間、邪魔をしないように支援課ダーヴとレムの5人は外に出ていた。


「リンさんの武器ですか、どんなものが出来上がるんですかね!」

「俺がワノモトで使っていた刀に近いもの、らしいな。見たこともないものを形にするなんて、やっぱりカグヤはすごいんだな。」

「ミリアム家の鍛治がすぐそばで行われてるなんて、その道の人たちに話したら羨ましがられるわよ。……オウロ、どうしたの?」

「え?何がでしょうか?」


 セラは突然オウロに声をかけた。


「いえ、なんだかいつもより落ち着かないような雰囲気だったから、気になっただけよ。」

「そうでしょうか?まだこの武器が、ミリアム家の武器が使い易すぎて逆に慣れてないのかもしれません。」

「そっ、ならいいわ。リン、武器が出来上がったらさっきのこと皆に話していいわよね?」

「ああ、説明は俺よりセラの方がうまそうだから、任せる。」


 カグヤが武器を作り始めてから、30分が経過。



 そして、


「カグヤ!」


 ガチャンッとドアを開け、外に出てくるカグヤの姿が。

 その手には、打ち立てである武器が握られている。


「カグヤ、それが。」

「そう、これがあんたの武器よ、リン。古くからあなたが使っている、刀。」


 リンは差し出された武器を優しく受け取る。


 黒い鞘に十と金色で彫られ、灰色の刀身1mの刀をカグヤは作った。

 鍔には華と彫られ、柄には桜が掘られている。


 腰に差し、一度刀をぬけば、


「なんだよこれ、手に馴染むなんでレベルじゃない、まるで体の一部みたいだ。」

「なら良かったわ、以前あなたの体の動きや、サイズを測っておいたからすぐに反映できたわ。あと、ミリアム家では、作った武器に使う本人が名前をつけているの、何か付けてもらえるかしら?」

「この刀に名前、か。……そうだな。」


 リンは考える動作をとるが、頭にふと浮かんだ名前が口から溢れる。


「ロトス。」

「ロトスか、良い名前だね、それじゃあその刀はこれからリン専用武器、ロトスだね。」

「ああ。……ん?なんで、俺今、ロトスって、口から自然と出てきたんだ─。」


 不思議と口から溢れたロトスの意味を考えようとしたリンの頭を、これまでに何度も経験した痛みが流れた。


 はたして、今回で10回目の同じ痛み、リンはいったい何を思い出すのか。

 そして、呼び起こされる感情とは。

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