第170話 極鋼採掘

 場所は変わり、リンとセラは馬を走らせ、ラミアには寄らずに直接ラドン鉱山に辿り着いた。


 2人は馬を安全な場所に止め、鉱山の入り口を見つめる。


「ここが鉱山か、冷気とモンスターの気配がするな。それも、相当高ランクのモンスターの気配だ。」

「そうね、視界も取れないだろうし気を抜かないでスピード勝負でいくわよ。」

「ああ、ここに辿り着くまでにかかったのは約4時間。カグヤが加工する時間も考えたら、極鋼レアクロムを採掘して、4時間以内に脱出。そこから馬を走らせて、シオンに戻る流れだな。」

「そうね、行きましょう、リン。」


 暗く、静かな鉱山に入る2人。

 しかし、その静かさとは裏腹にモンスターの気配は多く感じる空間。


 リンが前を歩き、セラは銃剣を構えながら後ろをついていく。


 明かりがないため、リンは近くの太い棒を持ち、あらかじめ持ってきた布を巻きつけ、油を染み込ませて火をつけ松明にしていた。


 その為、戦闘になった場合リンは片手しか使えず、セラ中心の戦いを強いられることになる。


「セラ、ここら辺のモンスターは刺激をしなければ襲ってこない習性だったよな?」

「……。」

「セラ?」

「え!?あ、そうね、洞窟や鉱山で暮らしているモンスターは外のモンスターよりも人に対する敵意が低いわ。人がわざわざ、こんなところに住もうとは考えないからね。」

「……なあ、セラ、もしかして。」


 リンは疑問に感じていたことを話す。


「暗いところ苦手か?」

「え、は、はぁ?そんな、わけないじゃない─。」

「じゃあ、俺ともっと離れて行動してもいいか?極鋼レアクロムを見つけるのを効率的にする為に。」

「え、あ、いや、その。」


 珍しいことにどんなことを言われてもすぐに言い返していたセラがタジタジになる。


「よしっ、じゃあ俺は先に─。」

「待って!」


 セラはリンの手をガシッと掴む。

 その手は震えており、勇気を振り絞っていることが理解できる。


「お願い、そんな、意地悪をしないで。苦手なの、こういう空間、だから、1人にしないで。」

「……ふっ、やっと頼ってくれたな。その方が可愛げがあって良いじゃないか、セラ。当たり前だ、1人にするわけないだろ、悪い、俺もやりすぎた。」

「……あなた、わざと私を試したわね?」

「え、あ、ん?」


 リンは薄暗い空間であっても、セラが涙目で睨みつけていることはすぐ分かった。


「ごめんなさい、たくさん謝るし必ず一緒にいるから凍りつけにだけは─。」

「後でお仕置きは確定よ。凍りつけになるかはこれからのあなたの行動次第。」

「よ、よし!頑張って極鋼レアクロムを見つけて、早く帰るぞ!」


 リンはセラと手を繋ぎ、鉱山を進む。

 ギガスの呪いで凍ることもあり、数分離してはまたつなぐという手段を取っていた。



 2人は鉱山に入り30分ほど経過する。


 あたりに存在するモンスターは2人を襲うことなく、比較的安全に先に進めていた。


「セラ、極鋼レアクロム見つかったか?」

「いいえ、まだ見当たらないわ。カグヤさんの情報では、黒と灰色に交互に光る鉱石だったわよね。」

「ああ、奥に行けばあるらしいけど、まだ見えないってことはまだまだ先なのか?」

「帰り道は記憶してるから、リンは極鋼レアクロムに集中していいわよ。」

「助かるよ、セラ。」


 2人はさらに先に進む。



 すると、


「っ!?この感じ、俺たちを狙ってやがるな。」

「ええ、まるでテリトリーに入ってきた邪魔者を排除したいかのような雰囲気を感じるわ。」

「いつ襲ってきてもおかしくない、一撃目は任せるぞ。」

「了解よ。」


 セラは銃剣を構え直し、リンと息を合わせて前に進む。



 その先には、


「っ?極鋼レアクロムじゃないか、あれ!」


 リンが指差す先には、直径50cmほどの鉱石が黒と灰色に光って見える物が。


 だが、その光を見させまいと2人の前に立ちはだかる物が。


 宙から舞い降り、大きな暗い翼を広げ威嚇する。


「何か出てくるとは思ってたけど、なんだこいつは?」

「蝙蝠型モンスターの大型タイプね。鉱山や洞窟で主に活動するモンスターだわ。」


 蝙蝠型モンスターの大型は、全長5mほどある不気味な黒い姿に、翼の先には鋭利なナイフのような尖があり、足にも大きく鋭い爪が生える。


 そして、口から覗いている大きく黒い歯も特徴的で、蝙蝠型がそこにいるだけで尋常ではないプレッシャーを感じられる。


「なあ、こいつやけに好戦的じゃないか?草原や森で生息してる人間を敵視してるモンスターよりもプレッシャーは上回るぞ。」

「変ね、確かに高ランクのモンスターは洞窟や鉱山には多いけどここまで血の気が多いのは初めて見たわ。……まさか、身喰らう旅団の手がここにまで伸びてるなんて、考えたくないわね。」

「まあ、まずはここを通させてもらわないと俺たちの目的は達成できない。セラ、松明を任せる、近接は俺が、空中にいる時はその銃剣で撃ち抜いてくれ。」

「ええ、スピード重視で終わらせるわよ!」


 リンとセラは、蝙蝠型モンスター大型と戦闘を繰り広げた。


 狭く、暗い空間で2人の連携はうまく機能するのか、そして、なぜ蝙蝠型モンスターはここまで好戦的になってしまっているのか。

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