第117話 作戦決行
石で作られた階段を金属音が降りてくるのが分かる。
その音を聞いたのは、
「セレジア・ウィル・レア、時間だ。外に出ろ。」
「……。」
セラは手足に錠を嵌められ、動くことすら大変な状態だった。
だが、処刑される人間に慈悲などない、無理やり歩かされ連行されていった。
そっと、セラは前を歩く騎士に問いかける。
「……あなた、どこの部隊所属なの?」
「騎士団長が、部下の騎士の顔が分からないのか?」
「……ごめんなさい、第2部隊よね。」
「ふんっ、分かるなら聞くな。」
セラはこの時点で、相手が何者が予測していた。
(この人達、やっぱり騎士じゃない、騎士団には第1部隊の中から、各班に分けられる。嘘を見抜けなかった、でもただの傭兵でもない、この雰囲気。練度が高い感じから読み取るに、例の身喰らう旅団が動いてるのかもしれない。……ロペスが、身喰らう旅団をわざと招き入れた?)
セラも気がついていた、今のアテネの様子がおかしいことを。
しかし、アテネで騒動が起きた当日、ロペスから手紙が送られてきた。
内容は、
「君が大切にしているものを失いたくないなら、僕のやる事に従え。この都市を簡単に壊す力が僕にはある、立場を弁えろよ。……くっ!ここまでやる男だったなんて!」
「おい!動くな!」
セラは騎士の姿をした者に家に押し入られ、そのまま素直に従い独房に入れられた。
抵抗すれば襲ってきた者たちを倒すことはできただろう。
しかし、今殲滅したとしても元凶を突き止められない、自分のギガスの呪いも気付かれたくないため無抵抗だった。
そして、セラは考えていた、1人でこの騒動を終わらせアテネに再び光をもたらす方法を。
だが、答えに辿り着かずこの日を迎えてしまった。
(なんでここまでのことが出来るの、私がロペスを仮に止められたとしても、身喰らう旅団かその協力者が入り込んでいる時点でこちらが不利、私が暴れたところで家族が危険に晒される、どうすれば……。)
セラは騎士のフリした者に触れて、ギガスの呪いが発動しないように気をつけながら連行されていく。
そして辿り着いた先は、
「ここならお前の失態がよく見られるな。」
「王家の会見場所、騎士の私が最後を迎えるには合ってるかもしれないわね。」
「ほう、さすがセント騎士団長は諦めもいい、理解が早い人だ。そこのギロチンのところに座っていろ、見せなきゃいけないものがあるからな。」
今セラが立つ場所は、数ヶ月前に女王の生誕祭を盛大にお祝いをした場所であった。
そこは、都市に住む人々と触れ合える場所であり、本来は歓声で溢れる場所であった。
そこに、今は上から刃が落ちてくるギロチンが設置されており、完全に処刑場と化していた。
セラがギロチンのところに向かうと、
そこから見えた風景は、
「あれが裏切り者の騎士団長だ!初めて姿を現しやがった!騎士団が最近調子悪かったのは全部あいつのせいだ!」
「騎士を苦しむだけ苦しませて、王都民を蔑ろにしてきた鬼畜女!ここで死んで詫びろ!」
(そうなのね、一部の貴族達に今回の騒動のことを吹き込んで、他の人たちはどこかに監禁してる。そこに、外から私に対する声が聞こえれば一気に王都民を洗脳できる、相手に策士がいるわね。)
ゆっくりとセラはギロチンのところに両膝をついて座り、刃が落ちるところに首を持っていく。
「アテネを乗っ取ろうとした愚か者に天罰を!」
「鉄槌を落としてくれ!俺たちに真の平和を見せてくれ!」
騎士の姿をした者が、ギロチンを吊るしている縄のところに向かう。
その手には剣が持たれており、縄を切る用なのはすぐ理解できた。
セラは抵抗を見せず、周りからの罵声にも耐えて処刑されることを受け入れるように目を瞑った。
(……今日は確か、あの約束から7日目だったわね。いくら彼の足が速いとしても、ここまで辿り着くのは無理ね。私って無力だわ、私のわがままで家族と都市を苦しめて、リンとの約束も守れないで、彼の相棒になるなんて夢のまた夢ね。短い、人生。)
セラの顔には諦めが現れていた。
それもそのはず、ロペスとの地獄の数日を過ごし、家族を危険に晒し、いつも元気をくれていた王都民から罵声を浴びせられている。
心が疲弊しないわけがない。
「それでは、大罪人の処刑を執行する。罪状は、アテネを混沌に陥れようとしたこと、そして、多くの命を犠牲にしたこと!闇がこの都市から祓われた先に、未来のアテネに、光あれ!」
「光あれ!」
縄が斬られ、セラ目掛けギロチンが目で追うのがやっとのスピードで迫る。
その距離、15cm。
そこへ、
「まったく、今日は約束の日だぞ、遅れるなら先に連絡して欲しいもんだな、わがままお姫様。」
「っ!?あなた、なんでここに!」
ギロチンを黒い剣で容易く受け止め、当たり前のように話す男が。
先程までセラの近くには人の気配すらなかったが、どこから現れたのか、王都民と偽騎士の目にはっきりと映る。
そして、男が放った言葉。
「俺の光を、闇に奪われてたまるかよ。」
リン、到着。
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