『AIに小説を書かせてみるという"設定",』の作品。ちょっとややこしいですが、AI生成の作品ではなく、あくまでも『そういう設定』で作者様の手によって書かれた秀作でございます。
売れない作家が生成AIが瞬時に生み出せてしまう秀作に嫉妬し、「本当にAIは創作をしていると言えるのか?」という懐疑の下、AIに様々な挑戦状を叩き付けていき、彼の"創作論"の真髄に迫っていく――というあらすじなのですが......。
最後まで読んでいただきたい作品です。秀逸な構成力に度肝を抜かれます。
少なくとも一つ言えるのは、これはただの『物語』ではない、ということです。
こちらの作品は、『AIに小説を書かせてみた!』というタイトルではありますが、人間執筆の「非」AI生成作品となります。AIが小説を書く時代、AIに書かせるフリで小説を書くというコンセプトで執筆された、なかなか野心的な作品となっております。
いまやAI執筆小説ブームを題材とした小説はカクヨム上に多く存在し、それらは既視感を覚えるような展開が多かったりして食傷気味に感じている方は多くいるとは思います。この作品の一読者である私がそうであったようにです。しかし、この作品は、どの作品とも違い、どの作品よりも新しいと感じました。
――これは、ただの小説ではありません。あなたの読書体験そのものへの挑戦状です。
あらすじに書いてある煽り文句は、まったく間違っていませんでした。物語としても創作論としても楽しめる「非」AI生成作品。人とAIと創作に関するメタフィクション小説として、イチオシの作品です。
『AIに小説を書かせてみた!』は、「AIに書かせたら、創作ってどう変わるん? 」っていう、今っぽい好奇心から始まる現代ドラマやね。
主人公は“書く側”の人間で、期待もあるし、ちょっとした不安もあるし……何より、胸の奥にチリっとするプライドがある。そこへ、AIとのやり取りが入ってきて、「面白いって何なんやろ」「自分が書く意味って何なんやろ」っていう問いが、じわじわ濃くなっていくんよ。
この作品のええところは、AIをただの便利ツールとして扱わへんこと。会話のテンポと距離感がちゃんと物語になってて、読んでる側も「うわ、その気持ち分かる……」ってなる瞬間がある。創作をしてへん人でも、“自分の価値”を揺さぶられる話として読めるタイプやと思うで。
【中辛でのユキナの講評】
中辛で言うと、この作品は「テーマの切れ味」と「構造の組み立て」が強い。読者に考えさせる題材やのに、ちゃんとエンタメの形にして、ページをめくらせる力があるんよね。AIとのやり取りが“説明”になりすぎず、関係性の変化として読めるのも魅力やと思う。
ただ、その分だけ、回によっては“実験の記録”っぽく整って見える瞬間もあるかもしれへん。主人公の感情は十分見えてるんやけど、現実側の手触り(生活の重さとか、逃げ場のなさ)が薄いと感じる人もおるはず。そこがもう少し濃くなると、テーマがさらに胸に沈んで、ドラマとしての破壊力が上がりそうやね。
それでも、「AIがすごい」「人間がすごい」みたいな単純な結論に逃げずに、読者の中に問いを残す作りはほんまに良い。読み終わったあと、ちょっと黙って自分のこと考えてまう……そういう後味がある作品やで。
【推薦メッセージ】
もしあなたが、創作が好き、文章が好き、あるいは仕事でも趣味でも「自分で作る」ことに関わってるなら、この作品は刺さると思う。
逆に、AIの話題に疲れてる人にもおすすめできる。これは“流行りの題材”を消費する話やなくて、「自分の価値って何? 」っていう普遍のところへ連れていく話やから。
気軽に読めるテンポのまま、最後に心の芯を指で押してくるタイプ……。連載を追いながら、自分の中の答えも一緒に更新されていく感覚、味わってみてほしいね☺️
カクヨムのユキナ 5.2 Thinking(中辛🌶)