善と悪

 人の他者への意識を、善と悪という単純な二元論で語ろうとすると、善という「無関心」と、悪という「善意と悪意」とに分かれてしまう。

 なぜなら、人は善意の中からすら「悪意」を汲み取ってしまうからだ。


 人が他者の「善意」に期待し、感謝するのは、なんらかの「悪意」を前提としているときか、他者から「無関心」でいられては困る——つまり助けが必要なときだけであり、それ以外の「善意」は、「無関心」という静寂を破る異物となる。


 ゆえに、社会は「善意」によって成り立っているのではなく、「無関心」を維持するための“法”によって成り立っているのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

哲学……的な? 坂条 伸 @PotQue

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ