第4話 魔女
「僕以外が来た時は何も言わずに静かにするんだ」
「お師匠様!わかりました!」
最近は白教の連中が家を回って魔女を探して回っているらしい。
もし来たら分かるようにはしたが、バートニーを守るためにも一応な。
「いってらっしゃいお師匠様!」
「いってくるよバートニー」
……お師匠様は大丈夫なのでしょうか。
いつも寝ずに何かをしています。延命魔法を使わないとだから寝たりできないのは知っています。でも、少しは休んでほしい……なんて思ってしまいます。
私が、悪いからですね。何もできなくて、なにも……
……凹んでちゃだめだ!ちゃんと頭の中で練習しなきゃ!
「いや〜疲れたね。ドアを開けてくれるかい?」
ドアがノックされた。
「お師匠様?」
「お師匠様……そうそうお師匠様だよ。あたしお師匠様」
……お師匠様かぁ。
たまに女の人っぽくなる時あるお師匠様だし。こういうこともあるのかな。
「……誰ぇ!」
「お師匠様だよ。お師匠様」
「は、は、白教の……」
「……魔女が白教の人はないでしょ可愛いお弟子さん」
「え……や、入っちゃだめですよ……ここはお師匠様のい、家でぇ……」
「ん?いや、お師匠様だって許してくれるよ。いや〜助かった。魔力隠しの小屋をたまたま見つけられるなんてね」
ワシリーサさんは黒いローブを着ていて、つばの大きな帽子、胸のあたりに白い花のブローチが着けられている。
背も高くて、お師匠様よりも大きい。
お師匠様とは違い、凄い女性って感じだ。前見た宿の看板娘……?さんがこんな感じだったなぁ。
「そ、その〜、なにを読んでいるんですか?」
「……これ?これは魔女を裁く手引き。あたしを殺す方法がみっちり書かれてるの」
書物!魔女狩りのことが書かれているやつだ!
「……あんたは誰だ?」
「……あぁ〜お師匠様か。あたしはワシリーサ。見て分かる通りの魔法使いでぇ……お邪魔してるよ」
「……魔女として追われ、ここに来た。なら、僕が白教の信者だとしたら?」
「ないでしょ。こんな場所に最近小屋建てるやつは何かしら今回の騒動で白教に追われた奴。……違う?」
「そうだな。その通りだよ。で……あぁどうすればいいんだよ」
「ごめんなさいお師匠様ぁ……」
「いい。別にいいんだバートニー。悪いことではないと思うから」
「いやお師匠様……で、名前は?」
「ノエルだ。感謝してくれよワシリーサさん」
「ノエルね。ノエル。あたしだって役には立とうと思うの。なんか運命感じるしさ。この魔方陣の維持はあたしがやってあげる。バートニー?もあたしが守ってあげる。……どう?」
……たしかに維持の影響で疲れが出ているな。
「ここで追い出して処刑されたりされたら嫌だからな。別にいい。いい……が」
ふと目についたワシリーサの持っている本には見覚えがあった。
「それ魔女を裁く手引きじゃないのか?」
「そうね」
「今白教の撒いてるやつと同じか?」
「いや、これは写し。たぶんノエルちゃんの期待しているやつではないね」
「……はぁ。ノエルちゃんとはな。まぁいいか。で、分かってるなら、どうすれば書物を手に入れられるかわかるか?」
この書物の元には、おそらく洗脳効果があると予測した。しかし、街にあふれている写しにはとくに効果は見られず、魔女狩りの始まった日に公開された書になら何かしらの手がかりがあるのでは?そう考えて僕は行動している。
「そうね。白教の教会にならあるんじゃない?潜入する方法は……こう、スーッと」
「スーッとはできないだろ。白教の教会、それに加えて騎士と司祭だっている。多分書は教会の保管庫にあると思うが……」
「保管庫は大抵地下室ね」
「そうだ。……まずはデトメンの教会についての情報を集めるよ」
「頑張ってねノエルちゃん」
「お師匠様!よく分からないけど頑張ってくださいね!」
呑気に魔法を探求していたある日、魔女として街から追い出された。〜魔女とは言うが、俺は男だ!〜 なうなす @nawnas
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