残酷な「天使」のテーゼ

クライングフリーマン

残酷な「天使」のテーゼ

 ================= 基本的にノンフィクションです ============

 もう歩けない私。

 主治医に「軟骨がすり減ってきている」と言われたのは、母の介護生活が始まった後だった。「脊柱管狭窄症」と診断されたのは、その後だった。

 毎朝、ラジオ体操していた、ラジカセは使わなくなった。

 私の「老化」は、恐らく他人より10年は進んでいる。

「電動自転車で楽してるじゃない?」

 何て残酷な言葉だろう。

 電動アシスト自転車は、「電気で漕ぐ力をアシスト(助ける)自転車」で、電気の力で自自走する「電動シルバーカー」とは違う。漕がないと、前へは進まない。

 本来は「電働アシスト自転車」なのだ。「電気で動く」のではなく、「電気で働く」のである。

 13年前、診療所の併営するフィットネスに入会した。所謂「ジム」ではない。

 ジム用具もあるが、触らせて貰ったこともないし、今はもう興味も無い。

 フィットネスは「ダイエット目的」から「健康」にスタンスが移行した。

 リハビリでも通っている私には、都合が良かった。今でも運動の前にリハビリマッサージがある。

 コロナの頃、コロナ対策に不満があり、一時退会していたが、復帰した。

 Zoomを利用したオンラインレッスンが始まった。

 私は、勧められるまま入会したが、だんだん億劫になってきた。

 私の望む「リハビリの補足」から遠のいていったから。

 トレーナーの一人は、「何故万博行かないのですか?」と執拗に食い下がった。

 彼は、万博に行った興奮で、私の話を聞いていなかった。

「同じポイントで5分も立って居られない。そんな足になってしまったから、電車にも乗れない。」

 そう言った私に、「譲って貰えばいいじゃないですか。シルバーシートでなくても、譲って貰えばいい。」と言った。

 仲が良いだけに、落胆は大きかった。

 電車に乗れない者が、どうやって自分の座席を探すのだろう?

 ある時、別のトレーナーが、「足指掴みでボール移動」を推奨した。

「出来ない」と言う私の声は無視された。

 1度止めたが、また、拘って始めた。

 出来る人は、数名なのに、「出来る筈の運動」と認識しているから「根性のある者だけやればいい」とまで言った。

 9月、「ペットボトルキャップ足指掴み大会」なるものをレッスンの前の10分位を使って始めた。

「タオルギャザー」を試したこともある。

 私は、「外反母趾内反小趾」でもある。

 足指でグーチョキパーは、かろうじて出来るが、そこまで柔軟に足は動かない。

 聞くまでもない。彼女の発案だ。

 最終日には、フィットネスの社長でもある、診療所の院長も参加して楽しんでいたようだ。

 私は、長引く咳で(後にアレルギー性ぜんそくと判明)、休みがちだったが、遂に決心した。

 元々イベント好きだったようだが、利用者に「イリュージョン」見せて楽しいのだろうか?と思った時、ふと気づいた。

「健康体の人が病気予防の為に行う運動」と、「持病を持つ者が悪化を防ぐ為に行う運動」とは根本的に乖離があるのだ、と。

 それでは、私には「向かない」ので、と退会した。

 私に残酷なこと言った彼と彼女は、共に元々診療所の看護師。

 他の曜日の理学療法士とは、基本的にスタンスが違う。

 看護師としては、「注射が下手」という共通点がある。

 長い付き合いだけに、とても残念だった。

 悔いはない。悩んだ末のことだ。

 もう内臓カメラがないから、とメインのPCに周辺機器のWebカメラを取り付けていたが外した。

 通信の不具合あることもあるから、と用意した内臓Webカメラ付きPCも撤去した。

 Zoomもアンインストールした。

 11月には「ハロウィン」、12月には「クリスマス」。仮装して指導し、利用者にも仮装しろという。

 そのスタンスにもついて行けなかった。

 歩ける人は歩けばいい。

 跳べる人は跳べばいい。

 でも、同じことはできない。

 電動アシスト自転車に乗る時は膝サポーターをしている。

 スーパーで買物する際は、広範囲を移動するので、やはり膝サポーターをしている。

 杖は、あまり突かなくなった。体力が持たないからだ。

 近所のコンビニに、以前は杖突いて歩いたが、もう無理だ。


 2階のAVルームには、6台のビデオデッキ、3台のDVDレコーダーがある。

 いずれは片づけなくてはいけない。

 PCルームには、大中小、10台のPCがある。いずれ片づけなくてはいけない。

 作業はなかなか進まない。

 2階への上りが一苦労だから。暑さもあって、トワイライトゾーンだ。


 私には、地位も名誉も財産もない。家族すらない。

 2階は、私が亡くなった後、親族がなんとかするだろう。


 先日、咳がマシになったので、敷物替えを敢行した。

 夏暑くて冬寒いから、どうしても、年2回行うことになる。


 オンラインレッスンに参加していた時間は「執筆・投稿」の時間に充てた。


 心がささくれていた原因は、前政権・前前政権のせいもあった。

「怨み・憎しみ」だけで、「異次元の殺し屋・万華鏡」は連続89日執筆、投稿を行った。


 その疲れもあるかな?

 私と「糸」を紡ぐ相手は永久に現れない。


 それでも、私は生きている。


 ―完―

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残酷な「天使」のテーゼ クライングフリーマン @dansan01

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