第6話


 2人で朝ごはん食べ終えたあと、お茶を飲みながら話をして、これからのことを決めた。

 ひとまずは、2人で調べられるだけ鏡を調べて、ダメそうなら何か動きがあるまで、2人で情報を集めることにした。

 といっても、鏡に触れても叩いても何も反応はない。

 お洒落な装飾があるわけでもない、ただの鏡。風呂場の鏡と違うのは、どことなく面影あるような、ないような、そんな2人が写っているだけ。

 そういえば、彼女がかけているペンダント、どことなく見覚えがある。

 昨日は上着の中に隠れていて気づかなかったそれは、遠目で見ればシルバーの洒落たペンダント。近くで見ると、少し子供っぽい、クローバーの形のものだった。

「母が子供のころに買ったのを、プレゼントされたの。子供っぽいけど、可愛いからずっと付けてるんだ」

 そう聞いて、私は声を出して、思い出す。

 彼女を置いて叔母の部屋に向かい、出してもらったのは、事故で亡くなった母がつけていた、ペンダント。スーパーの食玩コーナーで買い、母の日にプレゼントしたものだ。

 それを手に戻り、そのことを話すと、彼女は顔を曇らせる。

「私の両親は、まだ生きてる……けど、貴方は」

 もごもごと、言葉尻を濁す。

 私は、首を横に振り、応える。

 気にしなくていい。もう、昔のことだから。今もショックだけど、叔母も優しいし、お金はまだあるから。遺産だけど。

 茶化すようにまくし立てるけれど、彼女は俯いたまま、黙りこくる。

 失敗した。余計なことを話したかもしれない。

 そう思い、なにか言おうとした私をさえぎって、彼女は名案が浮かんだと、叫ぶ。

「私が帰る方法、てか消える方法、わかったかも」

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