現代とファンタジーの無理のない融合

SNSやストリーミング配信などの、現代風の要素を盛り込んだファンタジー。10話まで読みました。いきなり配信画面から始まるので、最初はちょっと面食らいましたし、ファンタジー要素との噛み合わせが唐突に思えました。

ですが、説明が簡潔でしつこくなく、徐々に世界観を読者に理解させるような作りになっているため、読んでいるうちに自然に作品世界に入り込めるのは、この作品の美点です。10話まで読むと、現代要素とファンタジー要素が、無理なく融合しているなと感じられました。

レンジ、マーラ、ミリアの3人の性格づけが明確で、場面が眼に浮かぶような描写が非常に巧みです。戦闘シーンも、書きすぎず端折りすぎず、絶妙なリズムです。文章は過剰にレトリックに走りすぎず、切れ味が鋭いので、読み心地は良好でした。

ミリアの絡み方が少し急に感じるところがなくもないのですが（もう少し彼女の気持ちが変化するところが見えた方が、個人的には好みです）、その分序盤から読者をしっかり掴んでくれるとも言えます。

web小説らしく、開始早々から読者を掴むような作りでありながら、長編小説らしい読み応えも併せ持つ、優れた作品です。