「ラベルなき記録」

東京都の片隅、雑居ビルの路地裏にひっそりと佇むリサイクルショップ「大黒天」。 そこでは、事故死や孤独死、夜逃げなどで放棄された遺品が、清掃も整理もされずにそのまま売られている。 腐った食材、血痕の残る衣類、そして――無記名のビデオテープ。

塾講師・小磯雅之は、他人の秘密を暴くことに異常な快感を覚える男。 盗聴器では飽き足らず、ついに「呪物」と呼ばれる遺品に手を伸ばす。 ある日、彼の目に留まった一本のテープ。持ち主は“失踪した男”だという。