第九話:燃えない家のセールスマン
新興住宅地に現れたセールスマン、バーンズ。「絶対に燃えない家『フェニックス・ホーム』」を売る彼のせいで、アンナの商売は上がったりだった。
アンナはプライドを賭け、フェニックス・ホームに挑む。おばあちゃんが開発した様々な発火装置や化学薬品を試すが、最新のハイテク耐火建材は、それらを赤子の手をひねるように無力化した。
『あの建材は本物だねぇ。あたしの科学と、現代工業技術の戦いさ。今回は分が悪いかもね』
おばあちゃんすら弱音を吐く。しかし、アンナは諦めなかった。
「そうか…家が燃えないなら、家の中を燃かせばいいじゃない」
アンナは裕福な顧客を装い、バーンズに家を案内させた。そして、彼が外壁の性能に絶対の自信を持つ一方で、内装の防火意識が低いことを見抜く。
アンナは客の前で、暖炉の火の粉が偶然飛んだように見せかけ、カーペットから発火させた。炎は瞬く間に燃え広がり、家の中はパニックに。
鎮火後、アンナは青ざめるバーンズに言い放った。
「家は燃えなくても、中が燃え、有毒な煙が充満すれば意味がありませんね?あなたの完璧な家には、たった一つ欠陥があった。それは、人間が中で暮らすという視点ですわ」
アンナは、おばあちゃんが開発中だった屋内用自動消火システムのコンセプトを売りつけ、バーンズから開発協力の契約まで勝ち取った。敵の技術すら吸収し、アンナはさらに進化する。
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