第六話:私、犯人じゃありません!
芸術家たちが集う自由な街、リベラ・アーツ。アンナの美学を汚すような、粗雑で無差別な連続放火事件が発生した。
「なんて醜い燃えし方…。私の"芸術"を模倣するなんて、一万年早いわ!」
模倣犯のせいで警察の警戒は厳しくなり、アンナは最有力容疑者として追われる身となる。
「おばあちゃん、この街の住民リストと警察の内部資料、抜ける?」
『当たり前さ。あたしを誰だと思ってるんだい』
おばあちゃんのハッキング能力を駆使し、アンナは警察より先に真犯人に迫っていく。犯人は、自分の才能が認められず自暴自棄になった売れない画家、ユリアンだった。彼は「炎こそ至高の芸術だ!」と叫び、自分の最高傑作として街の美術館に火を放とうとしていた。
アンナは彼のアトリエに乗り込み、まさに火をつけようとするユリアンと対峙する。
「あなたのやっていることは芸術じゃない、ただの自己満足よ」
「うるさい!俺の絶望の炎が、お前に分かってたまるか!」
「分かるわよ。絶望なんて、石畳を舐めるほど味わってきた。でもね、本物の芸術家は、絶望すらも売って金に換えるものなの!」
アンナはユリアンを取り押さえると、警察に突き出した。しかし、話はそこで終わらない。アンナは画商に匿名で接触し、「悲劇の放火画家ユリアンの最後の作品」というストーリーを吹き込んで、彼の絵の価値を裏で吊り上げたのだ。皮肉にも事件のせいで有名画家となったユリアンのニュースを見て、アンナは呟いた。
「才能の価値を決めるのは、いつだって私のような人間よ」
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