第9話

俺は、ミチルの悲報を胸に受け止めながら、自衛隊の司令室のモニターに映し出される黒い弾丸…ツバメの群れを駆逐する自衛隊の勇姿を眺めていた。


…今日、多くの犠牲が出た。

黒い空から放たれた弾丸は、街に多くの死体を築き上げた。


だが。

おそらく。

人類は。

この危険な生物兵器を、『外敵』を、駆逐するだろう。

人類は、負けない。

過去、幾度もそうしてきたように。

『鳥』類という種を根絶やしにしてでも、この危機を乗り越えるはずだ。


けれど。

これで、終わりなのか?

これは、始まりじゃないのか?


もし。

軍隊の如き統制を持ちながら世界最高の食欲を誇る蟻が都市を襲ったら。

体の95%が水分で構成されたクラゲが、飲用水と見分けがつかない程の変態をしたら。

陸上生物界最大の体格を持つ像が戦車をも踏み潰すほどの巨体を有したら。

それらが、大量に繁殖し、人類に悪意を持ったとしたら。

人類は、どうなるのか。

…その兆しは、今日、確かに、確認された。

多くの人間の血をもってして。

いや。すでにその兆しは、あったのかもしれない。

人類が、気付かなかっただけなのかもしれない。





125万種以上の命の炎が燃え盛る地球の復讐。

これで終わる筈が、

ない。


[続]

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