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概要
「言葉は橋、そして火種でもある」
ある日、「お前の言うことはもう信じられない」と告げられた主人公は、心の奥で何かが静かに崩れるのを感じる。病を抱えながらも誠実に生きてきた彼(彼女)は、同じ痛みを知るはずの人から「おかしい」と断じられ、世界が遠のくのを見つめる。やさしさを装う言葉は刃となり、沈黙を強いた。父の葬儀の日、知らせた相手に忘れられたことさえ涙にならず、人の言葉がいかに脆く危ういものかを思い知る。やがて、「あの土地の生まれだから」と偏見を口にする声を耳にし、出自による線引きの浅ましさを見つめ直す。燃えた橋の跡に再び言葉を架けるため、沈黙の時間を選ぶ主人公――これは怒りではない。壊れた言葉と失われた信頼を記すための「記録」である。
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