不完全――その欠けた部分は、他の誰かの得意分野となる。
- ★★★ Excellent!!!
「賢者の家」・・・身体や精神に障害を持つ子どもたちを社会へ適応させるための国営施設――表向きにはそう説明されている。
しかし、その実態は残酷だった。
主人公グレーテは母親に売られ、この施設に送り込まれる。彼女が配属された4組は、すでに「廃棄処分」が決まっている者たちの集団だった。
視力を失った者、音を過剰に拾ってしまう者、歩行に困難を抱える者。彼らは「役に立たない存在」と見なされながらも命令に従い前線へと送り出される。戦果を飾るためのプロパガンダとして消費され、泥にまみれ、戦場で必死に抗い続ける子どもたちの姿は痛ましく、そして目を逸らせない。
この物語が描くのは、弱者を切り捨てる社会の冷酷さと、その中でもなお生きようとする意志。
彼女たちはこの地獄のような現実の中で、どう生き延び、何を選び取るのか?
過酷な運命を背負わされた彼女たちの「生きざま」を、最後まで見届けたくなる作品だ。