遥かなる継承

亜香里

遥かなる継承

遥か昔より

命は糸のようにつながれてきた

その一本が 今

ここに立つ 私の肉体


骨も 血も 習慣も

ふと胸をかすめる匂いさえ

ご先祖たちの祈りと涙と

ささやかな日々が紡ぎあげたもの


私は独りではない

長い時の中の 一節にすぎない


だから問いかける

終止符を打つとき

最後に どんな花を咲かせようか


派手な花ではなく

湯気の温もり

不器用な言葉

差し伸べた手のぬくもり

そんな小さな一瞬が

誰かの記憶を震わせる花となればいい


──朝が来る


玄関を開ければ

秋の空気が頬を撫で

胸の奥までも澄んでゆく


勢いよく飛び出すと

頭上に広がる青空

雲は細く長くたなびき

幾匹もの龍が舞うように

白く輝き しなやかにうねる


その光景に

私は天の祝福を感じる


今日という一日が

どんな物語を運んでくるのだろう


龍に見守られる秋晴れの下

私の歩みは

自然と 軽やかに

未来へと続いていった

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遥かなる継承 亜香里 @akari310

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