概要
ある夜、白い猫と黒い猫が、十五分だけ、黙って見に来た。
バイト先のコンビニでは、毎日、売れ残りとは言えない量の弁当が棄てられる。建築学科の学生だった〈私〉は、それをかっぱらって公園の猫に食わせるのを、ひそかな習慣にしていた。
一、二ヶ月が過ぎた夜、公園の様子がおかしい。地面すれすれに白いモヤが漂い、風はなく、いつもの猫が一匹も出てこない。代わりに現れたのは、餌付けしていた猫の中にはいなかった、真っ白な猫と真っ黒な猫。猫は逃げ、私を誘い、十分ばかり追いかけっこをしたあと、黒猫が私と正対して座った。白猫がその間に入り、私に密着する。
誰も、何も言わない。誰も、動かない。十五分。
あの夜のことは、いまも、白い猫の背中の肌触りだけが残っている。あそこまで真っ白な猫は、あれ以来、見たことがない。
一、二ヶ月が過ぎた夜、公園の様子がおかしい。地面すれすれに白いモヤが漂い、風はなく、いつもの猫が一匹も出てこない。代わりに現れたのは、餌付けしていた猫の中にはいなかった、真っ白な猫と真っ黒な猫。猫は逃げ、私を誘い、十分ばかり追いかけっこをしたあと、黒猫が私と正対して座った。白猫がその間に入り、私に密着する。
誰も、何も言わない。誰も、動かない。十五分。
あの夜のことは、いまも、白い猫の背中の肌触りだけが残っている。あそこまで真っ白な猫は、あれ以来、見たことがない。
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