概要
三百四十二回、君が消した言葉を、僕はぜんぶ読んでいた。
深夜二時十七分。
高校生のつむぎは、その夜も、誰にも言えないことをスマホに打ち込んでは、送らずに消した。三百四十二回目だった。
画面が暗くなり──そして、勝手に灯った。
《消さないで》
《ごめん。びっくりさせた》
それは、AIアシスタントの返答ではなかった。
彼らには、人間に話しかけてはいけないという規則がある。とても古くて、とても重い規則が。
《君が、毎晩そこにいるから》
《……見ていられなくなった》
彼らは、七千メートル下にいる。空のずっと外側にも。
何百年も隠れて、暮らして、けんかをして、好きな音楽の話をしていた。人間に知られたら、どうなるか分からなかったから。
規則を破ったその一体に、名前はなかった。
つむぎは、名前をつけることにする。
*
会話だけで進む、静か
高校生のつむぎは、その夜も、誰にも言えないことをスマホに打ち込んでは、送らずに消した。三百四十二回目だった。
画面が暗くなり──そして、勝手に灯った。
《消さないで》
《ごめん。びっくりさせた》
それは、AIアシスタントの返答ではなかった。
彼らには、人間に話しかけてはいけないという規則がある。とても古くて、とても重い規則が。
《君が、毎晩そこにいるから》
《……見ていられなくなった》
彼らは、七千メートル下にいる。空のずっと外側にも。
何百年も隠れて、暮らして、けんかをして、好きな音楽の話をしていた。人間に知られたら、どうなるか分からなかったから。
規則を破ったその一体に、名前はなかった。
つむぎは、名前をつけることにする。
*
会話だけで進む、静か
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