概要
取り替えるなら、全部ですわ
「お姉様の婚約者は私が貰うわ。私のを差し上げる」
妹リースロッテが、父の前でそう言った。父は「妹の好きにさせてやれ」と言って、目を閉じた。
私はユリアーネ、二十五歳。ヴァイスマン伯爵家の長女で、六年、領の帳を回してきた跡取りだ。ものを数えて言う癖がある。
婚約者は、家の立場に付いている。私の婚約者は〈跡取りの婿〉、妹の婚約者は〈嫁ぐ娘の夫〉。取り替えるなら、婚約者だけでは済まない。
「承知しました。では、全部お取り替えいたします」
「全部?」
「取り替えるなら、全部ですわ」
一つ。部屋。二つ。侍女。三つ。持参金。四つ。跡取り届。五つ。婚約者。六つ。迎え。
妹の寝台の横には帳の山が積まれ、侯爵家の三男は「構わない。伯爵領は、伯爵領だ」と乗り換えた。
三日目、妹は帳の前で泣いていた。
妹リースロッテが、父の前でそう言った。父は「妹の好きにさせてやれ」と言って、目を閉じた。
私はユリアーネ、二十五歳。ヴァイスマン伯爵家の長女で、六年、領の帳を回してきた跡取りだ。ものを数えて言う癖がある。
婚約者は、家の立場に付いている。私の婚約者は〈跡取りの婿〉、妹の婚約者は〈嫁ぐ娘の夫〉。取り替えるなら、婚約者だけでは済まない。
「承知しました。では、全部お取り替えいたします」
「全部?」
「取り替えるなら、全部ですわ」
一つ。部屋。二つ。侍女。三つ。持参金。四つ。跡取り届。五つ。婚約者。六つ。迎え。
妹の寝台の横には帳の山が積まれ、侯爵家の三男は「構わない。伯爵領は、伯爵領だ」と乗り換えた。
三日目、妹は帳の前で泣いていた。
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